「女優賞総なめ」ふたりのベロニカ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
女優賞総なめ
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普通の作家だと、何とか二人を引き合わせて互いの運命を見つめるような設定にするのかもしれない。この映画ではストーリーには重点を置かず、叙情的な映像だけで攻めてくる。
最初は混乱してしまうが、ポーランドではポーランド語。フランスではフランス語を使い分けていて、切り替えしを多用するわけでもない。ましてやポーランドのベロニカは突然死の家系なので、コンサートのソプラノ独唱中に死んでしまうのだ。葬式で土中に土をかぶせられるシーンでポーランド編が終わるが、突如として始まるフランスシーンではまるで生まれ変わりのようにベロニカが輝くのです。
そのフランスのベロニカが人形劇を観て以来、人形師とのロマンスへ向かうストーリーも独創的。最初からクリスタルなどの小物のクローズアップにより幻想的には描いていたけど、このロマンスからはその事実自体が幻想的なのです。
人形劇から数日後、差出人不明で送られてきたテープを聞くと、駅のアナウンスや爆発音が入っていて、それを独自に調べるシークエンス。これが特に印象的。自分と同じ人間がいると信じるところは霊能力を絡めているようで、それほどでもないけど、イレーヌ・ジャコブから発散される神秘的な魔法には変わりない。エロチックなだけじゃないんだ・・・すごいぞこの女優。といった感じ。
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