「息を飲むような美しさ」ふたりのベロニカ kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
息を飲むような美しさ
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なぜ、ドッペルゲンガーって会うと死ぬのだろうか。この伝承を初めて知った時、まったく意味不明でした。
改めて考えて見ると、今までの自分が死に新しい自分になる、鏡の中の自分(影とか理想の自分とか)がひとつにまとまっていくといった、死と再生、統合のイメージがあるのかな、なんて考えています。
ふたりのベロニカはドッペルゲンガーの奇譚です。ポーランドのベロニカは音楽をやって恋人もいるリア充で生き生きしてましたが、フランスのベロニカというドッペルゲンガーを見て死にました。
その後、やや主体的に生きていなかったように見えたフランスのベロニカは、ふたりのベロニカをつなぐような人形劇を見て、もうひとりの自分の死を直観し、人形使いに恋をして、積極的に生き始めたように見えました。
そう考えると、ベロニカというひとりの人間の死と再生を表現した幻想物語だった、とも考えられるかもしれません。
しかし、そのような考察はヤボだと思っていまして、
(本作を考察するには、映画の教養含めて多くの知識が必要な印象を受け、自分のレベルではキャッチしきれていないと判断)
この映画からは美しさや儚さ、えも言われぬ悲しみが感じられるので、それを味わえば良いのでは、なんて考えてます。
セピアがかった映像、荘厳な音楽、人形使いの動きなどの極めて繊細な演出、多くを語らぬ脚本、そして主演のイレーヌ・ジャコブの絶世の美女ぶり。それらがブレンドされて、息を飲むような美しい映画となっています。
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