「戸惑いの顔たちが浮かぶ」フェイシズ(1968) abokado0329さんの映画レビュー(感想・評価)
戸惑いの顔たちが浮かぶ
ジョン・カサヴェテス監督作品。
関係の破綻した中年夫婦の一夜を描いた物語。
タイトルにもある通り、顔のクローズアップが多用されており、それによって登場人物の戸惑いや気の抜けた表情が見事にすくい取られている。
パーティーで乱痴気騒ぎをしている人を目撃している時、好きな人が自分以外の誰かと情事をしている時、あの表情は私の表情で頭から離れない。
終わりもまたいい。マリアは浮気相手の側で死ぬことに失敗するし、浮気相手の逃走の様子は滑稽だ。夫も浮気をしているのに彼女を叱責しているのはどうかしている。
破綻した夫婦仲は破綻したままこれからも営まれ、甘美な別々の夜へ向かっていくのだろう。このままでいいのだろうか。戸惑いの顔たちが浮かぶ。
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