「若者たちの苦悩とあがき、抑えきれないエネルギーが極彩色の映像と音楽で爆発する」フェーム kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
若者たちの苦悩とあがき、抑えきれないエネルギーが極彩色の映像と音楽で爆発する
午前十時の映画祭14にて。
舞台芸術の專門ハイスクールに集う問題児たち。
一人ひとりが異なる悩みや苦しみと戦う姿をリアルに描写する一方で、彼らが集合すると自然発生的に奏で、歌い、踊るファンタジーは、ユーモアとパッションに溢れている。
ある者は成功を夢見て、ある者は他に行き場がなくて、そこにいる。
ある者は自分の限界を感じて挫折に打ちひしがれ、ある者は新しい自分に目覚めて殻を破ろうともがく。
彼らが、自分がぶつかった障壁を乗り越えられたのかどうかをこの映画は語らない。
入学から卒業までの出来事の断片をドライにただ連ねただけで、ストーリーはないに等しい。
なのに、胸に熱く迫るものはなんだろうか。
前半のクライマックスは、アイリーン・キャラが歌う主題歌に乗って路上で繰り広げられる集団のダンスパフォーマンス。
ノリの良い音楽が流れれば、彼らの体はリズムを刻みステップを踏まざるを得ない。
何もかも頭から外して踊り狂う若者たちの姿が感動的ですらあり、熱く楽しいこのシーンは映画史でも屈指といえるだろう。
映画の最後を飾る卒業ステージは、それまで何度か映し出された自由に歌い踊るシーンとは違い、彼らが学んできた成果を発表する公式のステージだ。
いわゆる学生たちの集大成のシーンであって、出演した若い役者たちの集大成でもあるように感じる。
設計された演出に沿って演奏し歌っているはずの彼らの表情は活き活きとし、客席にいてノリノリで楽しげな教師たちが暖かい。
脚本のとおり順撮りされたというこの映画の、まさにクライマックスだ。
公開当時は同世代として彼らに共感するとともに、映し出される環境があまりにも日本とは異なることに驚き戸惑った。
人種や性的マイノリティへの理解もあまり及ばなかった気がする。
40数年が過ぎ、現役を終えた世代になって観た今は、刹那に命を燃やす若者たちに目頭が熱くなる。
主題歌「Fame」でアカデミー賞歌曲賞を受賞したアイリーン・キャラは一躍注目され、3年後『フラッシュダンス』の主題歌「Flashdance... What a Feeling」で2度目のオスカーを手にするとともに、知らない人はいないと思われるほどの世界大ヒットを飾り、グラミー賞シンガーとなった。
たが、レコード会社の不誠実な契約によって充分な報酬が得られず裁判で争うなど、順風満帆な人生を送れなかったのは気の毒だ。
kazzさん
フォローしてくださり
ありがとうございました☆彡
「フェーム」懐かしいですね。
それぞれの夢に向かって頑張る若者達が
困難にぶつかりあいながらも
成長してゆく姿に熱くなったものです。
>自然発生的に奏で、歌い、踊るファンタジーは、
ユーモアとパッションに溢れている。
同感です(^^)/
アイリーン・キャラの歌声に
感動しサントラ買いました。
数年後、『フラッシュダンス』主題歌も
大ヒットして嬉しかったです。
2022年に逝去され 悲しかったです。