「話題だったファイトクラブを再度視聴」ファイト・クラブ 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
話題だったファイトクラブを再度視聴
二度目の視聴。前回は前知識なくまあ普通に楽しんだだけだったが、その後、①ファイトクラブ問題(特定グループにおいて、古参である自分を差し置いて昔の自分が親しんだグループが自分が居ないうちに全くの別物(多くは陽キャのワイワイサークル的な)になっていて自分の居場所がなくなる事)というようなこの映画の名前を用いた面白い活用の仕方をとあるポッドキャスト番組で聞いて気になっていた②とある陰謀論サイトにて、911事件にからめてこの作品の予言性が強く語られていた・・・ということがあり、この作品には自分として強い因縁を感じており、二度目の視聴は②を軽く確認する意味で見ることに至った(事前に断って置くとそういう自分は陰謀論に詳しくない)。
結論として、予言ではなく、予告という言葉は甘く、儀式に近いと思う(思うという表現理由は、自分は論理的な結論づけをしているわけではなく、テキトーな自分内部での帰結であるからだ)ということだ。つまり、用意周到な予言の益は、大多数の人間が見るフィクションで皆が共有してある指向性をもった事象のシンボルを見ることによって、それが現実化することを促進する目的があるのではないかということだ。実益が無いとなんぼ自意識過剰で大愚を馬鹿にしたいからといって犯罪予告をするバカではないだろうからだ。
911事件に関わるとして、この映画で気になった点をあげていく。冒頭においてground zeroという言葉を使い、20:26において、発音が近いdrops to zero(人生の残り時間はやがてゼロになる)という言葉を用いている。21:41に飛行機が飛行機に突っ込む描写がある。序盤で主人公の一室(高層ビルの8~10Fほど)が爆破される。ラストに米国の金融関係の複数のビルに同時爆破テロをしてエンドとなる。「お前は廃墟となった'ロックフェラーセンター'の大峡谷でヘラジカを追う。」という言葉。物語中、頻発される「タワー」という言葉。「飛行機が墜落する」という主人公の言葉(01:52)。スフィアの一石二鳥作戦(玉はチェス盤をもしたテーブル席✖2に向かって転がる)。気になった具体例は以上となる。それとともに、タイラーによるインパクトある「お前は物に支配されている」等の主張が視聴者に与える影響性はもちろん大衆に悪影響を与える意味があると考えたのが一つ。もう一つは、無意味で面白げあるサブリミナル表現(ところどころのタイラー?の画像の挿入、ラスト02:16の男性裸体の下半身画像の挿入)は、大衆にこの作品の儀式性を確信されるのを防ぐためのブラフ(面白おかしく馬鹿げて下品で妄想なのだよという見せかけ)を目的としているのだろうなとテキトーな仮説をたてた。
上記に関わらないこととして、この作品はとても楽しめた。不眠症を抱えながらも悲壮感よりはコメデイチックに飄々と自分の病気と向き合って行く主人公。自分のスタンスを強烈に掲げ資本主義を憎悪し主人公を面白い世界に連れて行ってくれるタイラー。主人公の鏡面役(同じ性質)と思いきや、主人公を現実から見つめるリアル側の目撃者となった、マーラの存在。そしてファイトクラブという社会のはぐれものが鬱憤を晴らす組織から人肉を用いた石鹸工場、社会へのテロ組織と変遷していった組織。共感を誘われたし憧れもする内容だ。
9.11ののち、多くの映画がテロ計画のヒントとなったと言われましたね。
CIAが映画関係者を集めてアドバイスを募ったとか。
確認はできないんですが!ダイハードやこのファイトクラブ、あとパトレイバーMovie2あたりも教材となったとか。