「子供たちの自然な姿」愛の奇跡 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
子供たちの自然な姿
感傷的や感動を煽る演出描写は控えめに知的障害児たちを自然に映し込みながら今ある現実と向き合い将来を改善させようと厳しくも優しさが溢れている反面、成人した知的障害者の施設を描写した残酷に思えるリアルな場面では、カサヴェテスの真摯な意気込みが感じられ生半可なヒューマンドラマには収めないシリアスな雰囲気すら感じてしまう。
施設に赴任したジュディ・ガーランド演じるハンセンに懐く知的障害児のルーベンは自閉症を負っているようにも、そんなルーベンの母親を演じたジーナ・ローランズの若かりし美貌と演技は出番が少ないにしろジュディ・ガーランドを勝る存在感を発揮している。
変わらなければならないのは携わる人々、子供たちの親である大人がしっかりと受け止めなければならない現実、60年代初期に描かれたこの物語は今でも何ら古臭くも時代遅れでさえ感じることもなく作られた話ではあるにしても徹底したリアルがカサヴェテスの手腕であるかのように。
コメントする