劇場公開日 2025年3月7日

「ポンヌフの恋人未満」白夜(1971) 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ポンヌフの恋人未満

2025年4月17日
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鑑賞方法:映画館

思い返せば随分と久方ぶりの再見である。
男女の出会いと別れを四日間に純化して描いた作品だが、主人公の青年は街で見かけた好みの女性のあとをつけていったり、来訪者があると生活の痕跡や描きかけの絵を隠すし、バスの中で唐突に録音した自分の声を再生したりするというかなり挙動不審な人物だ。少なくともヴィスコンティ版のマルチェロ・マストロヤンニとは造形がかなり違う。マルトとの関係が仮に継続していたにしても早晩破綻したような気もする。
それにしても彼がマルトの身投げを止めなかったら、終幕の展開もあり得なかったわけで、本当に因果な役回りだと。これは身投げしかかっている人を救うシチュエーションとして「文七元結」的命題でもある。
顔を映さないクローズアップ・ショットの多用は健在。ブレッソンの文体に慣れてしまうと、いっそ小気味いい。
マルト役のイザベル・ヴェンガルテンは美しかったが、既に亡くなっていたんですね。ヴィム・ヴェンダースと一時期結婚していたとは知りませんでした。

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梨剥く侍