「ブレッソンの橋ものがたり」白夜(1971) ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
ブレッソンの橋ものがたり
自分が生まれた頃に作られた見逃していたブレッソン白夜を4Kという復活上映的なイベントで観れた。場内は上映回数の少なさか、かなり混んでいて、時折いびきも聞こえもするが、角川有楽町のスクリーンサイズが好き。
そして映画はびっくりするほど若く、鮮烈。
これはブレッソンのポンヌフの恋人たちというか、ブレッソンの橋物語。パリと橋(と川)。諦めるのか待つのか、待つのか諦めるのかという女と、そんな女に吸い寄せられる男。いづれも若者。2組のミュージシャンがいい按配にカットアウトをする。音楽はうっとりだが、切り込み方は唐突に。それがゆっくり川上から川下に流れ去る。もうそれだけ。更に謎のラジカセ録音機能。愛を記録し、吐き出し、なるほどとは思いつつ、バスの中で徐に再生するのは衝撃的面白さ。向かいで見つめ合う主婦たちと恋にまいっちまった青年との視線の交錯。たけし映画でもこんなのはない。
川面に反射する光はフィルムの優位性を物語る。これはスクリーンで観ないとな、の1本だった。ラストシークエンスが青春そのもの。
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