白夜(1971)のレビュー・感想・評価
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パリの街に音楽が流れていた
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19世紀のペテルブルグではなく、20世紀のパリのポンヌフ(第9橋)で、現れない恋人を待つ女性と画家の青年が出会う。
彼女は存在そのものが美しい芸術のようだけどロマンティストではない。彼はとても孤独で貧しいけど悪意はなくロマンティストだ。
60年代後半のパリの街には音楽があふれている。吟遊詩人のように街角でギターやバイオリンや笛を演奏する人たちもいる。
セーヌ川を行く船も音楽と共に流れていく。
そうして彼と彼女の束の間の時間も流れて消えていく。
唯一音楽だけがそれを知り惜しんでくれるかのようだ。
なにも救いがないほどつらい孤独の中で、20世紀と言うさらに人間をコンクリートで囲ってしまう孤独の檻の中で、彼はなんとか持ち堪えているんだ。共感しないわけがないじゃないか!
40年前に見た映画だからあいまいなところはあるけど、心に染み付いている。10代のころ、4,5回は見に行ったと思う。池袋に文芸座とかいう映画館があった時に。
流れて過ぎていったあれらの音楽の曲名を知ることはできないだろう。DVDも発売されていないから二度と聞くこともできない。
だからこそ、一層懐かしく、胸がしめつけられる。
記憶が確かなら、あれは1968年のアカデミー賞芸術作品賞かなんかだったような気がします。最高に芸術的であることには間違いないと私も思う。万人に理解されるかは別として。
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