「取って付けた様な」二十四時間の情事 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
取って付けた様な
戦争の傷跡が少しずつ癒えようとしている広島に反戦映画の撮影に来たフランス人女優と日本の建築家の男性を描いたフランス映画です。
冒頭15分程は原爆投下後の生々しい記録映像が映りそこに焦点を絞るのかと思いきや、それ以後は日仏男女のコッテリしたラブストーリーが中心で、舞台を広島にした意味が全く回収されていないと感じました。戦争による女性が負った心の傷を無理に広島に繋げた様に映るのでした。
また、フランス映画らしく「言葉」による展開が主で、スクリーン上で「愛してる」と語っているから「ああ、彼らは愛し合ってるんだな」と理解できるという程度でした。
ただ、1950年代の広島の街並みがしっかり捉えられているのは貴重な記録です。
戦時にドイツ兵と付き合っていたフランス人女性が終戦後に見せしめの為に丸坊主にされるという出来事は実際に多くの場所で見られた事実であり、幾つかの映画でも描かれていますが、その時、必ず本作が例に出されるのですが、それを確認できたのもよかった。ただ、当然何の説明もないので、今の日本の高校生があれを見て事態を理解できるのかなと少し不安にも感じました。だからと言って分かり易い説明を付ける必要もありませんが。
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