「だったらどうして使わないのさ」ヒート うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
だったらどうして使わないのさ
デニーロとアル・パシーノ。2大スターの競演に世界は色めき立ったと思うが、私は冷めていた。2人とも旬の時期に見ていなかったし、どことなく違う世界での出来事のように思っていた。のちに「ゴッドファーザー」を見て、その見解を改めるのだが。
で、この映画をみた最初の印象は「長いな」。だった。とにかく展開が遅く、やたらと重厚長大で、疲れる。目の覚めるようなアクションや、凄惨なシーンもなく2人の芝居をいい意味でもたっぷりと見せたい編集にこだわったのだろう。
今なら違う感想も持つと思うが、当時は映画を早送りして見るような時代。よほど見るのをやめようかと思ったほどだった。そして、最後まで二人のカラミはとうとう無いまま。撃ち合いのシーンでも、二人が同じフレームに収まることはなく、「仲が悪いので、苦肉の策として、編集で共演しているように見せかけた」という、もっともらしいうわさが独り歩きして浸透していったのだ。
ところが、最近ネットで知った事実は、監督の意向で、2人が一緒に映っているショットを意図的に使わなかったというのだ。事実なら、こんな裏切りはないだろう。
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