「『新幹線大爆破』へのオマージュに感動しました」ヒート よねさんの映画レビュー(感想・評価)
『新幹線大爆破』へのオマージュに感動しました
もうかれこれ17年前の作品でもう何度も観ている名作中の名作ですがこれっぽっちも古さを感じないのはその後も『ザ・アウトロー』や『レイジング・ファイア』といったあからさまに『ヒート』の影響下にある作品が次々と世に出てきているからかと。罪を償ったはずの前科者に立ちはだかる絶望的な搾取。捜査に没頭するあまり放置された家族の孤独、追う側も追われる側もズタズタになっていくドラマが丹念に描写されているからこそついにお互いが激突する銃弾が乱れ飛ぶ壮絶な市街戦が美しい。自由や尊厳、そして自分にとってかけがえのない人のために命を賭ける男達の末路に華々しさは微塵もなく、和製パニック映画の金字塔『新幹線大爆破』へのオマージュとノワール臭がたちこめるラストシーンの余韻に浸りながら、本作と先日観たばかりの『ルパン三世 カリオストロの城』の両方に多大な影響を与えた佐藤純彌監督の偉大さに改めて感動しました。
もちろんパチーノ&デ・ニーロの競演が最大のウリですが、トム・サイズモアやダニー・トレホ、ジョン・ヴォイトといったいかにもな悪人ヅラの男達が見せる漢気とアシュレイ・ジャッド、ナタリー・ポートマンら女性陣の繊細な演技のコントラストも見事。そしてとにかくカッコいいのがヴァル・キルマー。『トップガン』よりもこっちの方がベストムービーだと思います。
コメントする