パリ、テキサスのレビュー・感想・評価
全81件中、61~80件目を表示
【一人の女を愛しすぎて”心が裂けた”男の、再生と贖罪の放浪の旅。】
ーこの作品は、何度観ても、鑑賞後の余韻が長く残る・・。ー
1.作品の随所の映像の”赤”の使い方が実に巧みで、脳内に各シーン毎の印象として刻み込まれるためなのか・・
・冒頭、テキサスの平原を歩くトラヴィスが被っている野球帽の汗でくすんだ”赤”であったり、
・ウォルトがトラヴィスを自らの家に2日掛けて、車で連れて行く途中、休憩するモーテルの周囲の看板の電飾の”赤”であったり、
・トラヴィスとハンターが”妻、母”の車ではないか?と追跡するシボレーの
”赤”であったり、
・トラヴィスが”覗き部屋”で鏡越しに向き合った女性(ナスターシャ・キンスキー)が着ていたセーターの”赤”であったり、
・”妻、母”を探す、トラヴィスとハンターのシャツが”赤”であったり・・
2.トラヴィスの表情の変化が微妙且つ絶妙に表現されるためなのか・・
・冒頭から暫く、トラヴィスは“黙りんぼう”と医者から言われるほど、何も言葉を発しない。表情も無機質である。
・ウォルトがトラヴィスに対し一方的に喋るうちに、トラヴィスが徐々に話し出す”テキサスのパリ”に土地を買った理由。
”僕の人生はあそこで始まった・・”
ーウォルトが兄、トラヴィスをさり気無く思い遣る気持ちが、乾いてしまった彼の心を徐々に潤していく。-
3.ウォルトの家で”身勝手にも勝手に家を出た”トラヴィスが4年振りに会った息子、ハンターと少しづつ会話を始め、学校の迎えに何度か行き、漸く一緒に二人で並んで坂道を歩いて帰って来るシーンなのか・・
ートラヴィスは徐々に服装にも気を配るようになり、表情も少しずつ豊かになって来る。-
4.妻、ジェーンの居所がウォルトの妻アンの言葉により、朧げに分かったトラヴィスがハンターに”旅に出る・・”と言った後のハンターの口から出た”僕もママに・・・”と言うシーンのためなのか・・
ーハンターが自分の幼き姿と”両親”の幸せそうな8ミリビデオを見る表情と、アンの”息子がいなくなってしまう・・”という哀しみ、心配する切ない表情の対比・・。-
5.追跡した赤いシボレーが停まっている場所の脇で働く女性の”職場”に行き、女性と鏡越しに話すシーン。
そして、ホテルに残したハンターに”メッセージ”を残して、再び女性に会いに行くシーンのためなのか・・
■”女性”に対し、トラヴィスが”二人の男女は愛し合っていた・・” ”トレーラーで暮らしていた・・”と話を始め、
”電気を消せば、俺が見えるのか・・”
”女性”は、鏡に身体を寄せ、”ハンターのいるホテルへ行くわ・・”
<ライ・クーダーが奏でる、”旅愁を誘うスライド・ギター”の音色も心に沁み入るロードムービーの傑作である。>
<1990年代 映画館で鑑賞。その後、幾度か様々な媒体で鑑賞>
ダメなことが判って良かった
荒涼とした砂漠と
何か訳ありで肝心なことを何も話さない
むさいジジイのアップが続く中、
全体の三分の一を我慢して観ていると
DVDパッケージの
若い頃のナスターシャ・キンスキーの
超鮮やかな登場でやっと何とか持ち直す作品。
若い女の子と良い仲になりたい!
なんて思ってる中年以上のジジイには
いい薬かもしれないですね。
ダメ男が大丈夫な人はぜひ!
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
名作として、1984年だから36年も前に
カンヌでパルムドールも受賞してる。
けど、時代が求めるものが
あまりにも変わってしまっているので
今、この映画を観て、感動できる人は
どの位いるのでしょうか?
こんなにダメな男とダメな女の
互いの愚かな話なんぞ、クソつまんね〜
同じ監督の「ベルリン・天使の詩」は
同じような淡々とした作風ながら
観ていて最後は希望的に終われるのに
なんだよ、この映画のダメ男のたわごとは!!
こんな風にしか生きられない人もいるよね〜
ってことなんだろうけど、
私が映画に求めるものがそもそも全く違うので
逆に理解なんかしたくない!
名作名作と言われていても、
合わないものは合わないと
ちゃんと決着つけられただけ
観て良かったかもしれません。
@お勧めの鑑賞方法は?
配信で十分ですがうっかりすると寝てしまいます。
個人的感想
ロード・ムービーの基本
これは複雑で手短には語れない。 自分勝手で不器用な男が再会した愛す...
これは複雑で手短には語れない。
自分勝手で不器用な男が再会した愛する子供と消息不明の愛する妻の為、償う旅。
記憶を失くして目的を忘れてしまってもなお、何故パリテキサスを目指したのか。
それはその場所で愛する妻と子供と三人で暮らしたかったトラヴィスの想いが心のどこかにあったから。
愛に向かってひたすら歩き続ける男トラヴィス。
トラヴィスの愛の形、それがパリ、テキサス。
なのに涙流して何処に行くんだトラヴィス。
主人公との距離感の取り方が難しい
後半にやっと出てくるナスターシャキンスキーがあって初めて成り立つ作品だと思う。
若いころに観たけど寝落ちしてしまいほとんど記憶がなく、改めてみると、少々寝落ちしても問題なかったことが確認できた。
観る者が主人公に寄り添うことを求められる。この距離感を保つことが案外難しい。距離をとりすぎると映画から遠のいてしまうし、近づくと拒絶される。
観る者に干渉させないような作りになっていて、そこがこの作品のなかなか面白いところ(あるいは凄いところ)なんだと思うが、干渉できないから鑑賞もできないというか。
最後のほうで締めくくってくれてるから満足感はあるんですが、全体を通じて、「どうやったら入り込めるか」と機会を探りつつ結局入りこめなかったという敗北感が残ることになった。
美しく儚い
感情は覚えてる
逃げたくなる心情が伝わる
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
薄汚れた服で砂漠を歩く男は目が虚ろ。彼は最初は何1つ喋ることもなく、言葉を失ってまるで廃人のよう。何があったのか、弟が迎えに来てから少しずつ彼の背景が語られていくが、彼の閉ざされた過去に興味がわく。
そして家族との時間があった後にテキサスへ再び妻を息子と共に捜しに行く。父子は時間を取り戻したかのように喋り旅をする。
だがその後の孤独感・侘しさ・虚無感が漂う世界に突然すっぽりとはまり込む。あのときに何が起きたのか・どう思ったのか、言葉すら失い全てを捨てて歩き出した時の気持ちが理解出来る。この心の闇に覆われた彼はもうどうあっても引き止められないというのがわかる。
とにかく感情が伝わってくる映画だった。心が暗い闇に囚われ逃げ出せなくなるような主人公の気持ちが伝わった。『バッファロー'66』の雰囲気にも似た絶望感にも襲われる。そんな物語と演技と演出が良く出来ていた。
ただし一度は結婚していた相手の声と喋りを聞いて相手に気がつかれないという点は不自然だった。
THE 哀愁
テキサスの砂漠を黙々とひた歩く浮浪者のような男。
彼が目指すパリ、テキサスの意味、行方知らずの妻ジェーンと空白の4年間によって出来てしまった実の息子ハンターとの壁。
ジェーンを愛するが故に傷つけてしまったトラヴィスの苦悩と決断を追ったロードムービーの傑作と名高い作品の1つ。
冒頭のカラッカラに乾いた砂漠地帯に鳴り響くギターの甲高くも切ないリフにのせてただひた歩くトラヴィスから始まる今作品。
弟のウォルトが迎えに来てもまったく口を利かず、虚ろな表情でポツリポツリと空白の4年の記憶がないことや自分が誕生した地、テキサス州のパリに行きたがるトラヴィスの過去がとても気になる展開に。
息子ハンターとの関係を修復するためにキチッとした格好して迎えに行くトラヴィスとそんなトラヴィスに心を開き始めるハンター。
2人が初めて一緒に帰ることになったときのあの距離感がとても良い。泣ける笑。
弟夫妻と息子ハンターとの再会により、徐々に以前の暮らしぶりを思い出し始めたトラヴィスは嫁のジェーンを探しにヒューストンへハンターとともに旅に出る。
そしてその先で再会したジェーンは覗き部屋で働いていた。その瞬間、蘇る記憶。
なぜジェーンは自分の元から去り、ハンターすら手放したのか。愛するが故に傷つけてしまったジェーンとハンターを再び愛するためにトラヴィスが取った選択とは?
トラヴィスがジェーンを愛しすぎてしまったことで自分も傷付いてしまった人間という設定のため、トランシーバーやマジックミラーなどの直接的なコミュニケーションを必要としない道具が多く使われていて、彼の心の傷がまだ癒えていないことを暗喩しているという感想を多くの方が述べていて、驚くこと感心した笑。マジでこんなことまで考えてたのかなヴィムベンダースって笑。天才だ笑。
まさにTHE哀愁といった印象の映画。
ラスト屋上で佇むトラヴィスがとても切なく満足げ。あのアングルと距離感であの表現力は素晴らしい。
長い
トラヴィスよ何処へ
ブルーレイだと粗さがない
3人いっしよに暮らせたらよかったのに…
観れたことを幸せに思います
全81件中、61~80件目を表示