パリ、テキサスのレビュー・感想・評価
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ハリースタントンから漂う何か
ハリースタントンから漂うオーラというか哀愁というか何かを感じる。立っているだけ、話していなくてもただそこに映っているだけで雰囲気がでる。
作品としてもとても良い!
淡々としているのだがどこか洒落てて惹きつけられる。あのガラス越しの告白のシーンがとても印象的。
感情は覚えてる
久しぶりに観た。冒頭の砂漠のシーン、ライ・クーダーのギター、ナスターシャ・キンスキーしか覚えていませんでした。
ものすごく色、構図の素晴らしいショットの連続でした。
余白の多い心理描写と風景の対照が、映画として完成度が高いと思いました。
兄弟、親子、夫婦、色々な人の感情やつながりの中に生きているけれど、時々その繋がりが自由を束縛する鎖の様に思える時もある。
そんな繋がりや鎖、根元にある感情が以前見た時よりも響いてきた。
ただし、ストーリーとその展開は⁇ やや無理を感じました。ナスターシャ・キンスキーが美しすぎます。
充実した時間でした。
逃げたくなる心情が伝わる
総合80点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
薄汚れた服で砂漠を歩く男は目が虚ろ。彼は最初は何1つ喋ることもなく、言葉を失ってまるで廃人のよう。何があったのか、弟が迎えに来てから少しずつ彼の背景が語られていくが、彼の閉ざされた過去に興味がわく。
そして家族との時間があった後にテキサスへ再び妻を息子と共に捜しに行く。父子は時間を取り戻したかのように喋り旅をする。
だがその後の孤独感・侘しさ・虚無感が漂う世界に突然すっぽりとはまり込む。あのときに何が起きたのか・どう思ったのか、言葉すら失い全てを捨てて歩き出した時の気持ちが理解出来る。この心の闇に覆われた彼はもうどうあっても引き止められないというのがわかる。
とにかく感情が伝わってくる映画だった。心が暗い闇に囚われ逃げ出せなくなるような主人公の気持ちが伝わった。『バッファロー'66』の雰囲気にも似た絶望感にも襲われる。そんな物語と演技と演出が良く出来ていた。
ただし一度は結婚していた相手の声と喋りを聞いて相手に気がつかれないという点は不自然だった。
染みる
10代の時に一度鑑賞してから、20数年振りに再鑑賞。若い時には理解できなかった難しい作品が、40代になった今、胸に染みました。
人生長く生きていると、後悔することが少なからずあります。自分を見つめ直し、これからどうするのか。拗れた感情とどう向き合うのか。不惑の年齢を超えた現在、改めて熟考させられました。
それにしても、ナスターシャ・キンスキーの美しいこと!
THE 哀愁
テキサスの砂漠を黙々とひた歩く浮浪者のような男。
彼が目指すパリ、テキサスの意味、行方知らずの妻ジェーンと空白の4年間によって出来てしまった実の息子ハンターとの壁。
ジェーンを愛するが故に傷つけてしまったトラヴィスの苦悩と決断を追ったロードムービーの傑作と名高い作品の1つ。
冒頭のカラッカラに乾いた砂漠地帯に鳴り響くギターの甲高くも切ないリフにのせてただひた歩くトラヴィスから始まる今作品。
弟のウォルトが迎えに来てもまったく口を利かず、虚ろな表情でポツリポツリと空白の4年の記憶がないことや自分が誕生した地、テキサス州のパリに行きたがるトラヴィスの過去がとても気になる展開に。
息子ハンターとの関係を修復するためにキチッとした格好して迎えに行くトラヴィスとそんなトラヴィスに心を開き始めるハンター。
2人が初めて一緒に帰ることになったときのあの距離感がとても良い。泣ける笑。
弟夫妻と息子ハンターとの再会により、徐々に以前の暮らしぶりを思い出し始めたトラヴィスは嫁のジェーンを探しにヒューストンへハンターとともに旅に出る。
そしてその先で再会したジェーンは覗き部屋で働いていた。その瞬間、蘇る記憶。
なぜジェーンは自分の元から去り、ハンターすら手放したのか。愛するが故に傷つけてしまったジェーンとハンターを再び愛するためにトラヴィスが取った選択とは?
トラヴィスがジェーンを愛しすぎてしまったことで自分も傷付いてしまった人間という設定のため、トランシーバーやマジックミラーなどの直接的なコミュニケーションを必要としない道具が多く使われていて、彼の心の傷がまだ癒えていないことを暗喩しているという感想を多くの方が述べていて、驚くこと感心した笑。マジでこんなことまで考えてたのかなヴィムベンダースって笑。天才だ笑。
まさにTHE哀愁といった印象の映画。
ラスト屋上で佇むトラヴィスがとても切なく満足げ。あのアングルと距離感であの表現力は素晴らしい。
長い
随分と高評価だなあ。
一時間くらいカットできると思う。
後半まで本当に退屈。
几帳面なドイツ人の特徴か、説明がくどい。
テレフォン風俗?で会話するアイデアは良いと思ったが、それくらい。
ワンアイデアで、起伏がなくオチまでためてためて…というのがいかにもカンヌという感じ。
30年も経つと鑑賞に耐えない。
名画と言われている作品はほとんどが凡作という持論がまた強化された。
ヴェンダース作品をこれ以上観る必要がないのが確認できたことが収穫。
トラヴィスよ何処へ
大好きな映画。
まさか映画館で観られるなんて驚愕。
この「パリ、テキサス」ほど大画面のスクリーンで観るのに適している壮大な風景に乾いた映像に最高なロードムービーだ。
トラヴィスの最後の選択は自分勝手で弱くてズルくて情けないが憎めない。
トラヴィスの気持ちがコノ先が読めない。
ハンターが子供らしくもあり素直に大人たちに接する姿は可愛くて救われる。
再会した二人が過去の話をするシーンはもう一本映画が撮れる濃い内容。
H・D・スタントンの素晴らしい存在感にヤラれる。
ブルーレイだと粗さがない
感情を切り裂くようなライクーダーの音楽、ぶった切ったような編集、台詞はどこか詩的、映像美、あの時ハリウッドにはない映画の良さが散りばめてあった。
久しぶりに観て、トラヴィスに年が近くなったせいか、色々と感情が被ってきて理解できる部分を感じた。勿論理解は出来ても肯定はできないが。
ブルーレイで観るとフィルムの粗さが全然ないんだな。当時の予告と見比べるとそれがわかる。見やすくはなったけど、粗さも含めた映像美だったかもしれない。
3人いっしよに暮らせたらよかったのに…
久々に印象に残る良いものを見た
『バクダッド・カフェ』に並ぶ感じ
景色も音楽も よい 生き方もよい
決してよくないんだろうけど…
悲しい感性を持って生きる性が夢のようだ
あたしにとっては夢の世界だ
悲しい夢 涙で目覚める夢のようだ
カントリーな風景と独特の恋愛観
詩を見ているような感覚を受ける映画。
感情や風景の描写はセンスが溢れているが、
世界観自体が独特なので好みが分かれそう。
「愛しすぎて別れた」とか「失意から何年も世界を放浪し続けた」
とか、そういう世界観。
個人的には一人息子の扱いが気になった。
母にも父にもポイポイ捨てられては拾われる、ということを繰り返されて、
それでも最後の最後まで無条件で親を受け入れる子ども。
そして、一目見るなり、お互いに抱き合い涙する親子…。
子どもはそんなに都合のよいものではないと思う。
育児放棄は子どもを傷つけるという自覚が足りないというか、
親のエゴに目をつぶって、綺麗にまとめようとしたところが共感できなかった。
自分探し
記憶を失ったトラヴィスが、自分を再発見し、家族の再生を試みる話。
テキサスの平原や青空の映像が美しい。DVDで観ていても息を呑むほどに。
淡々と、起伏なく物語は進んでいくが、
最後のトラヴィスと妻がミラー越しに話すシーンや、トラヴィスが息子に対したテープレコーダーの声や、妻と息子が再会するシーンはとても感情的で、感動的。
最後まで3人揃うことがなかった家族だけれど、
それぞれの、それぞれに対する愛情は確かで、
愛ゆえに、一緒にはいられないと決断した悲しさは、とても美しいと感じた。
静かに自分を見つめ、
勇気を出して前へ進む決断をしたトラヴィスに、
勇気付けられた。
全カットがポストカードのよう。
とても良かった。古い映画だし観るのきついだろうなと思ってたら、絵力というのか、惹きつけられて目が離せなかった。アクション大作の派手なシーンよりも、父親と子どもが出会うシーン、母親を見つけるシーン、父と母がマジックミラー越しに話すシーン、母と子が再会するシーンの方が見せ方次第で迫力があるのだなと感じた。どのシーンもポストカードのような美しさだったけど、特にジェーンと話す部屋のカットが目に焼き付いている。
観て良かった。
観れたことを幸せに思います
ヴィム・ヴェンダース監督を、恥ずかしながらあまり観てこなかったんです。
そしてようやく観ることができました。そして、もっと早く観なかったことを、今、本当に後悔しています。もっと早く出会っておくべきでした、この映画に。
しかし、観ずに人生を終えなくて、本当に良かったと思っています。それほど、この映画に出会えたことは、私の中の何かを変えたような気がします。私の中の何かを動かした気がします。
このサイトでレビューを付け始めて4か月ほどですが、初めて満点をつけたいと思います。迷いなく満点をつけたいと思います。
感想は、ただただ感謝です。
しびれる
学生時代にリアルタイムで観劇したのが最初。不気味な話、と引きました。
主人公登場のシーンや、喚き散らす人、などが痛々しくリアル過ぎと感じたから。
後に『ベルリン・天使の詩』などを観て、すっかりベンダース監督にハマり、評価が逆転。
ハリー・ディーン・スタントンや、ライ・クーダーも大好きになりました。
終わりのシーンは本当に格好いいです。
普遍の絆を映し出す深い眼差し
ニュー・ジャーマン・シネマの担い手で表現主義の映画作家ヴィム・ヴェンダースの代表作「パリ、テキサス」は当然の如く詩的で芸術的な情感に充ちている。
テキサスの砂漠から始まる物語の冒頭から美しい風土と音楽で魅せてくれる。 しかし、ヴェンダースはその普遍的な自然の美しさと対比させるように人間に在る普遍の美しさを紡ぎ出す。
彼は今作で"家族の絆"という一見容易く崩れ去りそうな関係性に焦点を当てその普遍性を見つめるように描く。
何よりも深い結び付きによって崩壊した家族の絆、そして失われた自分の過去を取り戻す為トラビィスは息子と共に"故郷"へ旅立つ。
そこで待ち受ける総て、自分が目を背けていた総てを受け入れることで彼は変わる。
端的に言えば美しく魅力的な"ハッピーエンド"だ。 家族がいつも一緒にいることが全てだろうか?幸せだろうか?
離れていても繋がっている3人の絆をヴェンダースは服の色で示す。
いかにも表現主義的で憎い。
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