パリ、テキサスのレビュー・感想・評価
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ナスターシャ・キンスキー
がピンクの服を着て振り返る姿の印象の強いこの映画。見たはずだけど全く覚えてなかった。トラヴィスは精神病んでたの?
弟夫婦気の毒では?とかいろいろ思うことはあるけれどやはりナスターシャ・キンスキーが美しかった。
強すぎる愛は相手を理想化し、コミュニケーションが成立しなくなる。
テキサスを放浪していたトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)は弟のウォルト(ディーン・ストックウェル)に引き取られる。
ウォルトと妻のアンはトラヴィスの息子ハンターを育てていた。
トラヴィスはウォルトの家でしばらく生活していたが、アンから彼の妻ジェーンの消息を知らされ、探しにいくことにする。
ジェーンを演じているのが絶頂期のナスターシャ・キンスキー。それだけでもうなにも言うことがないのだが、ヴェンダース作品としても、上位のクオリティだ。
強すぎる愛は相手を理想化し、本当の意味でのコミュニケーションは成立しない。
これは映画についての映画であり、コミュニケーションについての映画でもある。
ウォルトが編集した8ミリには理想的な家族がうつされていて、ハンターはそこにうつっているジェーンが本当のジェーンではないと語る。
トラヴィスはハンターに認められようとして、父親らしい服装や立ち居振る舞いを演じようとする。
場末の風俗店で、トラヴィスはマジックミラー越しに女と話す。客から女が見えるが、女から客は見えない。女はそれぞれの役割を演じ、客の要望に応える。
その店で働いているジェーンを演じているのは何度も言うように、ナスターシャ・キンスキーであり、超絶美人だ。マジックミラーを挟んだ会話は、スクリーンに映し出される女優のように遠い。
ジェーンもそうだが、息子のハンターも賢く、ものわかりがいい。
この映画じたい、構図も考え抜かれており、映像も美しい。
すべてが美しすぎて、理想的だ。
そう、この映画は映画的であるからこそ成功していると言える。
男の傲慢さと身勝手な怒りを覚える
現代のいわゆるDVを主題にした男の身勝手な夢想映画という印象だな。年上の中年男性と付き合う未成年の若い年下の女性は、何を言っても喜んでくれるし何を食べてもおいしい、といって喜んでくれる、なんてセリフ部分は、男の妄想以外になんでもない、という感想だな。暴力をふるって家を出て行ったこの元妻の女性を探し求める元中年男。
この映画の肝は、ハンター役の子役の演技。ちょっと変な無理やり感のセリフも一部あるが、自然体で大人ぶった演技は素晴らしいく光っていた。可愛かった。
全体を流れるスチールギターの音色は郷愁をそそるしテキサスの殺伐として砂漠の乾燥した雰囲気を色濃くしていた。「バクダットカフェ」を思い出した。主人公の中年男が記憶を失ったという前提だが記憶喪失の理由がよくわからなかった。重要じゃないんだろうけど。といかく飽きずに2時間を見ることができました。
訳の分からないトラヴィス
貴婦人て何?
息子ハンターが会いたいと願っていた母ジェーンに迎えに来てもらい今後ずっと一緒に暮らせるような終わり方でハッピー•エンドで良かった、
とはなったが。
気になるのは、ハンターの実父トラビスではなく、弟のウォルター&アン夫婦のこと。
約4年前にトラビス&ジェーン夫婦が破綻して、
突然ハリーがやって来たので、今までわが子のように大切に育てて来たのである。
ウォルターは、ハンターにお前の父親はトラビスだ、とずっと言い続けて来たように可愛がりながらも一歩引いている。だが、アンはどうか。
子供がいないアンにとってわが子のように可愛がり大事にして来ていて手離したくないのだ。
また、ウォルターは、やっと兄トラビスの情報を得て直ぐに向かい広大なところから探し当て、
車に乗せ逃げられながらまた連れ戻し、シャワーを浴びさせ買って来た衣類を着せ髭も剃りこざっぱりとさせ、身の回りの世話を焼いている。帰りの飛行機にどうしても不安があると言うトラビスの言い分通り一旦搭乗した機体から降りて2日かけて車で帰って来てもいる。
何と兄思いの弟なんだろうと思った。
当たり前のように自分の家で暮らすよう促し、8mmビデオの映像で楽しかった4年前の家族の様子も思い起こさせていた。居なくなったジェーンとの日々が思い出される。
日が経ち落ち着いてハンターとも心通わすようになったトラビスは、ハンターの行く末を考え、アンの情報をもとにジェーンを探そうと決意する。
ウォルターに打ち明け、トラックとカードと現金を借りたりもらったりして出発しようとする。
途中ハンターの学校に寄りハンターに声かけすると、迷うことなく行くと言いついて来る。なぜ、ここでアンに連絡しないのか。止められるとわかっていても、言うべきだった。
ジェーンは若さゆえ夫に耐えきれなくなりハリーを置いていなくなり、トラビスもハンターをほって行く。
この夫婦に振り回された被害者、
息子ハンター、ウォルター&アン夫婦。
ハンターの健気な心がいじらしい、
テキサス州のパリという地名は、トラビス家族が幸せいっぱいの頃に土地を買ったところで、
家族そろった幸せの象徴。
見て良かった
この日は、なんだか遠い、広大な景色が見たくなってこの映画をチョイス。
まず一言、「見て良かった」
マイリストに入れてるけど、もしかしたら一度も再生しなかったかもしれない。その日の気分でいつも見る映画を決めてるけど、ずっとこの作品を見る気分にならなかったかもしれない。サムネだけで。
でも、クリックしてみて良かった。再生ボタンを押して良かった。
こういう、思わぬ感動に出くわした時、すごく嬉しくなる。
ロードムービー、とだけ知っていてあらすじなどは知らなかった。
だから作品がスタートしてからすぐに、主人公の行動に釘つけ。
どういうことなんだろう?どうなっていくんだろう?って
ほんと冒頭からすぐに、惹きつけられていった。
ずっと興味を惹かれたまま、最後まで駆け抜ける。
そうだったんだ、そういうことだったんだ、と視聴者が知っていく方法も、なんだか今まで見たことない手法だったから、惹きつけられちゃったなあ。
そういう過去があったんだね。
息子ハンターが愛らしい。
息子とだんだんと距離を縮め、二人で車の旅のシーンはよかったなあ。
叔父叔母の心境、息子の心境、実母の心境、そして父の心境。
どれも、切なくて。でも皆シンプルに「大切に思っている」という気持ち。
そのパズルが上手くはまらない時に、すれ違ったり。
みんな「大切に思ってる」だけなんだけどね、、、。
父トラヴィスの行動、そして思いに
最後の最後まで惹きつけられる作品だった。
ハンターが母にゆっくり、近づくシーン。
近づいて、抱きつくシーン。とても、とても良かった。
音楽、ギターの音色がこの映画の雰囲気をさらに際立たせていた。
ロードムービー感。切なさもあり、広大な大地に呆然としているような、そんな雰囲気を掻き立てる音楽だった。
見れてよかった。
夫婦って
テキサスにもパリがあるらしい。
南房総の勝浦市も、
北海道の北広島市も同様のいきさつだ。そして
そもそもアメリカ東部の「NEW〜」という地名は、どれもおしなべてヨーロッパからの入植者たちが名付けた、彼らが元いた故郷の名だ。
帰らない故郷を、遥かに乞い想う名前だ。
テキサスには、かつてはフランス領だった時期があるのだ。
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広告看板を作っている弟が、行き倒れの兄を迎えに行って、
二人で失われた四年間と、兄弟として育った生い立ちを、それぞれ記憶を取り戻しながらの、車の旅をする映画。
お邪魔虫の居候が、放浪癖は治るはずもなく、兄は再び弟の家を出る。
その理由も告げずに。
僕には家族に10年を超える行方不明者がいる。
僕は彼の事を探す心と、彼を諦める心。そしてもしも再会が叶ったときの自分の心の持ちようについて
いつも考えている。
年間8万人の捜索願が出される日本。
出ていくまでの本人の心持ちや、その後の双方に流れる空白の時間を考える。
大都会LAで弟が手掛ける「巨大な広告看板」と、
砂漠の空き地に「ポツリと立つ兄の所有地の立て看板」の対比が 印象に残る。
心の拠り所を、遥か遠い街に残して、人は皆、流浪の人生というものをきょうも生きているのかも知れない。
いつか彼はその土地に到達するのだろうか?
いつかそのふるさとに、人は帰れるのだろうか?
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冒頭でバーブラ・ストライサンドの出演作「愛のイエントル」の看板が映ったことと、ジム・ジャームッシュ映画の常連ジョン・ルーリーの顔が見られたことは、少し嬉しかった。
弟夫婦の優しさと戸惑いが本当に素晴らしい。
そして、子役にやられてしまうのは勿論。
一緒には暮らせないのに、ガラス越しや背中合わせならばようやく語り合える男女の悲しさを魅せる。
パルム・ドール受賞 ✨
これも良作
「午前十時の映画祭14」TOHOにて鑑賞。
長年タイトルとナスターシャ・キンスキーが出てるというのは知ってたが、ヴィム・ヴェンダースだったとは知らなかったー。
ハリー・ディーン・スタントンについては名バイプレイヤーと思っていたので、主役の彼が見られて嬉しい。ある程度年がいってるけど、私の認識する彼より全然若い。
キンスキーは「ホテル・ニューハンプシャー」でしか見たことないが際立っている。…とほぼ役者に関する感想になってしまう。
アメリカ人さえフランスが思い浮かぶ地名、パリ。タイトルはそういうことか、トラヴィスの思い入れのある地。
現実は理想どおりにいかない、一番犠牲になるのは子供…という、ストーリーとしては変わらずある内容だけど、正気を保てなくなるほど傷つき荒野をさ迷う。あんなに美人な妻なら当然かも。
スマホのないこの時代に、よくぞ居場所を探しあてたな…。でもトラヴィスとジェーンは最後会わなくて正解。
ヴェンダース作品て、ゆったり流れるけど飽きずに見られて好きだなと、今回改めて思った。
これはロードムービーなのか?
テキサスの蒼い空とキンスキーの赤いセーター
ヴィム・ヴェンダースの代表作のロードムービーで、どこかで観たような気がしたら、後年の作品『アメリカ、家族のいる風景』も子供を探しに行くロードムービーで脚本も同じサム・シェパードでした。冒頭、どこまでも広がるテキサスの蒼い空と荒野の地平線を背景に一人の男が放浪しているシーンは、西部劇のように美しく惹き込まれます。四年間行方不明だった彼を弟がロスの自宅に引き取り、主人公の過去がポツリポツリと語られていき、生き別れの息子との関係修復がされていきます。善人である弟夫婦、ぎこちなくも実の父を慕い始める息子との関係は、寛容さと慈愛に満ちています。そして、息子と別れた妻を探す旅、妻との再会は教会の懺悔室での告解のようです。ミケランジェロ・アントニオーニなら愛の不毛を強調するかもしれないけど、余韻のある幕切れが人生のほろ苦さがあっていい感じでした。役者では、ハリー・ディーン・スタントンが味わいのある演技でした。何よりも、出番が少ないのに画面をさらってしまう、ナスターシャ・キンスキーの美しさにハッとしました。
ナスターシャ・キンスキーが綺麗
結局はこども泥棒
いろいろな愛のカタチ
デトックスに成功!
前々から観たいと思っていた作品、午前十時の映画祭にて鑑賞する事が出...
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