劇場公開日 2025年1月31日

「後半30分はやや夢見心地となる」パピヨン(1973) あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0後半30分はやや夢見心地となる

2025年2月2日
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鑑賞方法:映画館

1973年の作品である。公開50年を記念してテアトル社が配給し再上映となった。そういえばスティーブ・マックイーンが亡くなって今年で45年になる。月日の経過は早いものである。関係ないけどマックイーンとクリント・イーストウッドは同い年。びっくりしてしまう。
兎にも角にもやはりこの1973年版パピヨンは大傑作。アンリ・シャリエールのベストセラーをほぼ忠実に再現した。そもそもこの原作者は一種の山師であって、自分の体験談を刑務所や犯罪者仲間から聞いた話で盛りに盛ってこの脱獄王の一代記を創り上げた。面白くないわけはない。さらにスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンの2人が乗りに乗って演じており映画としての完成度は極めて高い。
これに比べると2017年のリメイク版(ルイ・ドガをラミ・マレックが演じていた)は原作の非現実なところ史実と合わないところをカットしよりリアルにしようとしたところがアダとなり映画としての面白さははるかに及ばないこととなった。
今回、1973年版を観ていて感じたのは、後半部分、インディオ部落に漂着して真珠をもらうところ、修道院で捕らえられるところ、再び独房に5年間収容されたあと悪魔島に送致されそこから脱出するところ、前半との時間の流れが異なり、なにか夢見心地というか幻想的な表現に変わる。恐らくこれは原作において脱走成功が近づくにつれて表に出せない差し支えある事柄を伏せているからでしょうね。そしてなまじ映画は原作に忠実であるためそのようなトーンが残ったということなのたろう。でもそこが最後の悪魔島でのくだりに何ともいえない詩情を感じさせるところにつながっている。この映画の最大の見どころはそこなのです。

あんちゃん
talismanさんのコメント
2025年2月2日

あんちゃんさん、コメントありがとうございます!同感です。抑えがあることに私も品を感じました。

talisman