「【”鋼のメンタル” そして、”椰子の実” 脱獄映画の傑作の一本】」パピヨン(1973) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”鋼のメンタル” そして、”椰子の実” 脱獄映画の傑作の一本】
ー内容は人口に膾炙しているので、久しぶりに鑑賞した感想を簡潔に記す。ー
1.パピヨン(スティーブ・マックイーン)の脱獄への執念のもの凄さ。
・詳細には語られないが、無実の罪で、フランス領ギアナのサンローラン刑務所に収監されたパピヨン。
・彼が、最初は”金を持っているから”という理由で、偽国債作りのプロ、ルイ・ドガ(ダスティン・ホフマン)に”身を守るから“と近付くシーンから、何十年後には、深い絆で結ばれていく数奇な関係性。
2.独房に入れられた過酷過ぎるパピヨンの2年間の境遇。
・食事はそれまでの半分。しかも、虫が入っていたりする。
・光を閉ざされる。-これが、一番キツソウである。-
・隣の房の男が”俺はまだ、大丈夫そうか”と言い、翌日には房から顔を出さない。
・光が入らないため、白い顔で”虫”を捕まえ、食べる姿。
・それでも、彼に密かに”椰子の実”を入れてくれた者の名前を言わない。
3.独房での生活を終えたパピヨンが脱出を企て、成功しかけるシーン
・”音楽界の夜”看守たちを計画通り欺き、人間梯子で高い壁を越え、約束の場所に到着し、ルイのお金を舟を用意したものに渡すが、船は壊れている。
・それでも、顔に入れ墨の入った男の助けを受け、ピジョン島へ。そこは、ハンセン病者たちが暮らす島だったが・・。
-ハンセン病の男の葉巻をパピヨンが吸うシーン。彼の勇気が試される。-
そして、漸くホンジュラスへ。青い海、白い浜。現地人との交流。
-ここで、めでたしめでたし・・、とならない・・。
・修道院に入り込むが・・。
4.再びのサンローラン刑務所
・5年間の独房生活から解放されたパピヨン。髪は真っ白。一緒に逃げたクアイの若者は、房を出た所で息絶える。
-パピヨンの頑強さが、分かる。-
・そして、ルイと再会。囚人たちの境遇も少し良くなっており、岸壁沿いの小屋に住んで、野菜などを作っている。
ルイは且つて、”女房が釈放の手続きをしているから・・”とパピヨンとの脱出を拒んだが、矢張り女房からは無しのつぶてだったらしい・・。
5.潮流を読む
・岸壁に囲まれた湾に押し寄せる激しい波。じっと見つめるパピヨン。そして、おもむろに”椰子の実を藁袋に入れ”、海に放り込む。あっという間に砕け散る椰子の実。
だが、パピヨンは
”7回に一度来る波は・・・・”
そして、”椰子の藁袋"を海に投げ入れ、自分も飛び込み・・、
”椰子の藁袋"にしがみ付く。彼の名曲が流れる中、徐々に沖合に流れていくパピヨンを乗せた藁袋。
”馬鹿野郎、俺は生きているぞ・・”
<世界的ベストセラーにもなった、実話に基づいた脱獄映画の傑作の一品。>