パーマネント・バケーションのレビュー・感想・評価
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永遠と退屈
何かが降りてきそうで降りてこない歯痒さが70分間ひたすら持続する映画だった。緩み切ったニューヨークの時間は狂人たちの奇想さえ無害な独り言に変えてしまう。そしてそれらはどこにも辿り着かない。意味を成さない。独り言は独り言のまま摩天楼に飲み込まれ消えていく。永遠と退屈は似ている。画面のあまりの変わり映えのなさは確かに往年のアメリカ映画とは一線を画しているといえるが、その奇特さだけで70分という時間をやり過ごせていたようには思えない。序盤のダンスシーンなどは画として鮮烈だったものの、それ以降はあまり面白いと感じられなかった。ラストシーンでの主人公と異邦人とのやりとりから、本作がニューヨークから渡仏した先で映画に目覚めたジム・ジャームッシュの個人史と連動していることは明白だが、そうした文脈を度外視した場合、そこまで映画としての強度はないんじゃないかなというのが正直なところだ。
ユニークさ
瓦礫の残る街 不協和音の中歩く青年 出会うのはおかしな人達ばかり ...
絵画のような映画
【”何も起こらない退屈な永遠の休暇からの、旅立ち”ジム・ジャームッシュ諸作品の根っこが垣間見える作品。】
<Caution! 映画レビューに殆どなっていません。>
■僕が、ジム・ジャームッシュ監督作品を初めて観たのは、何時だっただろう。
映画好きの友人の家で、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を見て、見事に嵌り(だって、当時、あんな不思議な映画はなかった・・)「ダウン・バイ・ロー」を見て、”アイ・スクリーム”に嵌った。
お金もないのに、ガールフレンドを誘って「ナイト・オン・ザ・プラネット」を映画館で観た。
で、”映画を観たら、パンフレットは買わないと・・”などと言い、お金もないのにパンフレットを格好つけて買った。(そのパンフレットは、宝モノである。)
・で、今作を友人の家かどこかで見た。”良くわかんねー。ジョン・ルーリーしか分かんねー。サラ・ドライヴァーは?(看護婦だった・・。)”などと言って、今作は記憶から薄れた。
・今日、久しぶりに名古屋の伏見ミリオン座に行った。
以前、ワンコさんから”名古屋でも10月にジム・ジャームッシュ レトロスペクティブやリますよ。”と親切に教えて頂いていたので、フライヤーコーナーに行ったら、”ジャームッシュ鑑賞ラリー”と書かれたフライヤーが置いてあった。
裏面を見たら12作品が10月一杯掛かる日程と、作品一覧が載っていた。
3作以外は、観ていた。
内容も良く覚えている。
だが、今作の内容がどうしても思い出せなかった。
で、配信で観た。
相変わらず、良く分からなかったが、
”何も起こらない退屈な永遠の休暇からの、旅立ち”
と言う根幹テーマは、今作で確立していたのだな、そしてジム・ジャームッシュ監督は(数作を除いて)そのスタンスを40年間、貫いてきたのだなという事は、朧気ながらに分かった。
・大したモノだと思う。
40年間、ほぼブレないスタイルで、彼にしか作れない映画を作り続け、今や、レトロスペクティブとして、過去作が上映されるのである。
稀有な監督であるのは、間違いない。
【旅①/旅の始まり】
ジム・ジャームッシュのデビュー作から6番めまでの作品は、全て旅がモチーフだと思う。
出会い/集い、良し悪しではなく、その成り行きを見つめているのだ。
そして、出会い/集い、旅するのは、僕達のことではないのか。
(※ これら6作品のレビューは書き出しが同じです。すみません。)
この「パーマネント・バケーション」は1980年の制作で、70年代のアメリカの時代背景や雰囲気をよく表している。
ベトナム戦争は終結した。
しかし、それまでのアメリカ的自由主義が揺さぶられ、帰還兵にはトラウマに悩まされるものも多かった。
その後、カーター政権が誕生したものの、イラン革命が起こり、イランのアメリカ大使館人質事件の発生、ソ連のアフガニスタン侵攻で、アメリカは更に自信を失っていく。
パーカーが、街を漂流(drift)している時に会ったのは、廃墟のような街角にいる精神を病んだ元兵士のような男と、外国人の泣き叫ぶ女だ。
その間、飛行機や爆撃の音が聞こえ、なお、世界は不安定だったことを思わせる。
パーカーの母親も精神を病み病院に入っているが、周りにいるのは同様に精神を病んだ患者と、無関心に振舞う看護師だ。
映画館のポップコーン売りの女はやる気もなく、映画の見所など話せるはずもない。
映画館にたむろする男は、ドップラー効果に執着するも、何を言っているか理解不能だ。
夜ひとり孤独に、誰にも聞かせることもなく路上でサックスを吹くプレーヤー。
部屋にいた無関心な彼女も消えた。
こんな状況の中で生きる目的を見出すことが出来ないパーカーは、きっと、当時のアメリカの多くの若者そのものなのだ。
そして、漂流し、旅立つ。
冒頭で、パーカーがストレンジャー(見知らぬ人、よそ者)について語る場面があるが、パーカー自身がこれから、ストレンジャーになるのだ。
そして、次回作のタイトルの布石であるような気にさえなる。
この作品の中で、ジム・ジャームッシュは、パーカーや出来事を否定も肯定もしていない。
おそらく、こうした生きる目的をなかなか見出すことが出来ないことは、時代時代で世界中の若者には、よくあることなのではないのか。
そして、若者が意を決して彷徨うように旅立つことも。
エンディングで映し出されるマンハッタン。
世界貿易センタービルがそびえている。
これから約20年後、このビルが同時多発テロの標的になるなんて、誰が考えただろうか。
昔も、今もアメリカの価値観、いや、僕達の世界の価値観はずっと揺さぶられ続けているのだ。
そして、若者も人々も、その中で漂流しているのだ。
"アロイシュス"のお散歩
≪JIMJARMUSCHRetrospective2021≫
どこから見つけてきたのか?"クリス・パーカー"本作にとって正に奇跡的な青年と、ジャームッシュ、ジョン・ルーリーと全てが最高。
ケント・マッケンジー「TheExiles」シャーリー・クラーク「ザ・コネクション」と「クール・ワールド」カサヴェテスの「アメリカの影」スコセッシ「ドアをノックするのは誰?」そして、本作。
時代は違えど、錆びれた雰囲気のニューヨークにJazzが流れるセンスだらけの不良を描いた逸品な映画たち。
詩を読むようにセリフを吐くアリーに、クールな彼女の態度、キチ●イだらけな人々と何も起こらない物語。
アリーのお散歩、パリ編を観てみたい!?
これでもアマチュア
本当に絵画のよう。
ジム・ジャームッシュ監督作は「コーヒー&シガレッツ」に続いて本作が二作目。またも鑑賞中に変な感覚に陥った。
漂流する高校生を描いた作品。
ストーリーというストーリーは無い。主人公の高校生が「物語というものは点と点を結んで最後に何かが現れる絵のようなものだ。 僕の物語もそれだ」などと語り、話は始まる。変な主人公が変なキャラクターに出会い、話を聞いたり話をしたりする。
鑑賞していて笑えるわけでもなければ、楽しいわけでもない。だからといって退屈で眠くなるわけでもない。これがジム・ジャームッシュ監督の真骨頂、オフビート映画なのであろうか。それを初監督作から発揮しているとは…
本作は絵画のように眺めて鑑賞する映画だと思う。
なぜか、主人公の生き方と考え方に何かしらの共感やリスペクトを感じてしまう。
繰り返すオーバーザレインボー
・ひとりの青年が町をさまよって対話を重ねて最終的に船でニューヨークからでるはなし
・映画館で独り言でジョークを飛ばす黒人、飛行機を爆撃機だと思い込む軍人、路上トランペッター、あきれる恋人
・ひとり暮らししてしばらくすると住み処の方から「そろそろ出ていく時期なんじゃないか」という声がするのは不思議な感情になった
・外でヨーヨーをやってて珍しいなと感じた
マルドロールの歌然り、中二病チックな主人公であったが、冒頭の漂白観...
確かに何かが起こった
映画というよりも不思議空間の映像
総合:50点
ストーリー: 15
キャスト: 60
演出: 60
ビジュアル: 65
音楽: 60
物語らしい物語はない。描かれるものは現実世界ではないものが混ざり、超現実空間が混ざり合っている。悪く言うならばまるで麻薬でもやって頭がどこかに飛んでしまった人が作ったかのような、いい言い方をするならば芸術的な映像世界が出現する。映画というよりも何かの超空間映像というようなもので、わけのわからない世界に戸惑う。
映画としてはくだらないなと思ったのだが、ちょっとだけこの世界に魅かれてしまったのも認めなければならない。特にいい作品だとは思わないのだが、監督の大学の卒業制作らしく、その意味では監督独自の感覚が現れた、今後を期待させる作品なのかもしれない。
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