「波乱万丈の人生が魅力」バリー・リンドン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
波乱万丈の人生が魅力
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総合:80点 ( ストーリー:85点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
主人公は決して善人ではない。むしろ自分の望むことのためならばいくらでも狡くなれる悪人である。彼は自分だけでなく周りの人を巻き込んで彼の作り出す不幸に巻き込んでいく。だがそのような悪人であるからこそ彼の人生は動乱の世を激しく駆け巡り、好きになれる人物ではないものの、その波乱万丈の激しい彼の生き様に惹きつけられた。
また衣装と美術と撮影はとても優れていて、当時の風景を観ているかのようだった。戦場の場面も良かったし、邸宅と庭、そして室内の蝋燭の淡い光も良かった。
気になった点は、説明が無いままいきなり場面転換することが多くて時と場所と時間の経過がわからず、状況の変化についていけないこと。主人公がどこにいてそこで何か月・何年過ごしたのかわからない。いつの間にかシュヴァリエ・ド・バリバリはさよならも言わずに消えていたし、リンドン夫人とはベルギーで会ったらしいし、結婚後はイングランドに住んでいたようだ。ドイツとイギリスは脱走したバリーを追跡しなかったのかも気になる。
また軍隊時代の略奪行為や軍隊での悲惨な体験についても簡単に描写されるだけで、はっきりとその実態を映像化しないのにも演出の生温さを感じる。ここは悪事についてもしっかりと描いてほしい。
結末近くは少しだれて時間の経過が長く感じた。それとバリー役のライアン・オニールは悪いと言うほどではないが淡々とした演技で、強盗に会った時でも普通に受け入れているなどその波乱の多い人生ほど演技には起伏に乏しいように感じた。
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