バットマン リターンズのレビュー・感想・評価
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一番好きなキャットウーマンはコレ!
近年のリアルなバットマンもいいんだが、このゴシックホラーというか非現実と現実が交じり合ったようなゴッサムシティ、そこに現れる「怪人」たち、切ないいうな狂気をはらんだようなBGM……どこか退廃的な雰囲気を感じさせるバットマンもやはりいい。
前作のジャックニコルソンのジョーカーも大好きなんだが、この作品のキャットウーマンに心をガッチリ捕まれてしまった
これは個人的な好み、性癖のようなものだけれど、ヒーロー映画で一番心が躍るのはやはりヒーローの「変身」
トニースタークが鋼鉄を叩いてスーツを作り上げるシーン、ケースが変形しマークVを装着するシーンのような
この映画でスーツを作るのは、ヒーローというよりはヒロイン…というかダークヒーローならぬダークヒロインと表現すればいいのだろうか。
この映画で「変身」するのはセリーナ・カイル
序盤から随所に見られるセリーナ・カイルの精神的な不安定さ。現状への不満、憤り。
物語中盤、それを開放するように窮屈な子供部屋のような自室を破壊しつくし、黒いレザーコートをチョキチョキとハサミで切って縫い合わせて、猫みたいな衣装を作り上げる
そこからはもう狂気を開放するかのように暴れていく
人助けも一応する
おどおどして、髪もボサボサで、色気なんて全然感じられなかったセリーナが、二人を男を(バットマン、ペンギン)振り回す妖艶なキャットウーマンに豹変する
この「変身」が最高にイイ
破滅的な行動と言えばそれまでだが、なんかこう…最高に猫っぽい
そんなキャットウーマンが好きになった映画でした
フリークス・ビフォア・クリスマス。 前作をはるかに上回る狂気!バートン劇場再び開幕🦇🐧🐈⬛
”闇の騎士”バットマンの活躍を描くスーパーヒーロー映画『バットマン』シリーズの第2作。
ペンギンとキャットウーマン、2人の怪人の登場がクリスマスシーズンのゴッサムを混乱に陥れる…。
監督は前作から引き続きティム・バートンが務める。なおバートンは本作では製作も担当している。
○キャスト
ブルース・ウェイン/バットマン…マイケル・キートン。
狂気に陥った社長秘書、セリーナ・カイル/キャットウーマンを演じるのは『スカーフェイス』『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』の、名優ミシェル・ファイファー。
原発建設を推し進めるゴッサムの権力者、マックス・シュレックを演じるのは『アニー・ホール』『ディア・ハンター』の、オスカー俳優クリストファー・ウォーケン。
ティム・バートン リターンズ!
前作から3年、よりダークに、よりマッドに、そしてよりバカバカしくなって帰ってきたバートン濃度120%の『バットマン』。口から黒い液体を垂れ流すチビハゲおじさんとドスケベレーザースーツ女王様にバットマンが立ち向かう。…こんなん子供泣くわっ!!😂
当時ファミリー向けのグッズ展開もされていたらしいのだが、この映画のおもちゃはさぞ売れなかったことだろう。本作を最後にバートンが監督から降ろされたのも、もしかしたらグッズの売り上げが芳しくなかったからなのかも。バートン自身は3作目もやる気満々だったらしいのだが…。なんとも勿体のない話である。
バートン監督の作るゴッサム・シティは、この世のどの時代、どの都市とも異なる独特の雰囲気を携えている。これはロケではなくセットやミニチュアを用いて撮影を行っているから。つまりは一から十まで空想の産物であり、そんな街の中で動物のコスチュームに身を包んだ怪人たちがどったんばったんと大騒ぎする訳だから、そりゃあもう箱庭感/作り物感が半端ではない訳です。
オペラ調のサウンドトラックや仰々しいキャラクター造形も相まって、舞台演劇を観ているような感覚に陥る本作。『リア王』や『ハムレット』のような、堂々とした悲劇をアメコミ映画でやってのけたその異常性こそ、この映画最大の特徴であり魅力であるように思います。
怒れるペンギン軍団がミサイルを撃ち込む映画なんだから、そりゃあリアリズムもクソもないのですが、それでも映画が子供騙しのおままごとに堕していないのは、同情を禁じ得ないヴィランたちの存在があるからでしょう。
身体の障害を理由に親に捨てられ、30年以上も下水道で暮らしていたペンギンの、人々に認められたい、尊敬を集めたいという野望を否定することは誰にも出来はしないだろうし、散々虐げられた挙句命までも奪われそうになったセリーナがシュレックに復讐しようと思い至るのは全くおかしな事ではない。
彼らの見た目はまるでハロウィンの仮装のように滑稽である。だからこそ、その内に秘められた悲哀や怒りがより際立つ。「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」というチャップリンの言葉がぴたりと当てはまるようなキャラクター造形の巧さには舌を巻くしかない。
こんな複雑怪奇なキャラクターを演じ切ったダニー・デヴィートとミシェル・ファイファーの演技力は賞賛に値する。
特にミシェル・ファイファーの演技は天下一品!✨狂気的な表情もさることながら、しなやかな肢体を存分に活かしたアクションがまた素晴らしい。デパートで4体並んだマネキンの頭を次々とムチで吹き飛ばすシーン。あれを本当にやってのけたというのだから驚愕である。今作の彼女はオスカーを獲得しても全くおかしくないレベル。これでノミネートすらされなかったというのはどう考えてもおかしい!!ジャンル映画差別だっ!💢
今作に登場する3人のヴィラン、ペンギン、キャットウーマン、そしてマックス・シュレックは、それぞれがブルース・ウェイン/バットマンの、影のような存在として描かれている。
ペンギンとは親を失うという子供時代の悲劇が人格を歪めたという点が共通しているし、黒いコスチュームに身を包んだ二重人格者という点ではキャットウーマンと同じ。そして大富豪であり街の名士として知られているという点ではシュレックとブルースは似た立場の人物ということになる。
今作でバットマンが対峙するのは自分の負の側面が肥大化したかのような者たち。一歩間違えば自分もこうなっていたかも知れないという分身たちである。
バットマンは彼らと闘いを繰り広げるものの、結局倒すことは出来ない。銘々が自らの罪のツケを払うカタチで映画から退場してゆく。つまりバットマンは最後まで影を掻き消す事が出来なったのである。この事がもたらす寂寥感というか無情さが、この映画に重石としてどっしりと鎮座しており、ヒーロー映画らしからぬ後味を観客に与えてくれている。
本作の翌年、ティム・バートン原案/製作のアニメ『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)が公開される。怪物たちによるクリスマスの奇跡という点でこの2作は共通している訳だが、この頃のバートンはクリスマスに何か鬱屈したものを抱えていたのだろうか?
何はともあれ、ヒーロー映画としては異質すぎるダーク・ファンタジーとなった本作。ファミリー向け映画では全く無いが、このくらい振り切れているといっそ気持ちが良い。
近年の『バットマン』シリーズはリアルでシリアスな方向性を目指しているようなのだが、本作のようなビザール感もまた『バットマン』の持ち味だと思う。この路線でまた一本作ってくれないかなぁ…?
哀愁漂う雰囲気が独特
ティムバートン監督が好きです。ペンギンなど社会からはじかれた落ちこぼれにスポットライトを照らした作品。
バットマンの敵は、悲しい過去を持ったクレージーで派手なキャラが良い。キャラクターグッズになりそうなほどビジュアルがイケてるほうが良い。真っ黒くて地味なバットマンと真逆だから良いのだ。
古いけどオシャレな作品。
屈指の世界観
世界観の構築、美術造形、画面の魅せ方が兎に角秀逸。ここまでの世界、映像を見せられたら心理描写やストーリーにツッコみたく部分あるけれどもそれは横に置いておいて充分楽しめる。
二面性にフォーカス
バットマン・シリーズ(ティム・バートン版)第2作。
Amazon Prime Videoで2回目の鑑賞(字幕)。
原作コミックは未読。
1作目に比べてティム・バートン要素が強め。異形のものへの愛情がこれでもかと注がれたダークな作風でした。
ペンギンとキャットウーマンがメインとなり、すっかり脇役になってしまったバットマン。これも監督の愛ゆえか?
世間から爪弾きにされた者たちの悲哀と孤独が全編を覆っていて、根底が通じている者同士の戦いは悲しげですらある。
前作は勧善懲悪的でしたが、本作ではバットマンもヴィランもその二面性がフォーカスされ、物語に深みがありました。
※修正(2024/03/23)
ロックフェラーセンター・クリスマスツリーだね。
哀れな悪役って事だ。
セットをいくつか作って、原作の世界をティム・バートン監督の世界に加工していると感じた。勿論、原作を知らないので、間違いかもしれないが。
銃が使われて、殺されてしまうのは、一人だけだったと思う。グロそうでグロくなく、やっている事は恐ろしい事なのに、コミカルに暴力を描いている。
ティム・バートン監督はやっぱり素晴らしい。彼独特のスチームパンクに共感できる。
ティム・バートン ワールド炸裂
冒頭のシーンから、ティム・バートンの世界。あやしく不気味で幻想的、アート的にも充分の舞台。それが、敵役ペンギンの不気味で醜い姿や毒々しい廃棄物の色彩にマッチする。バットマンもキャットウーマンもだいたい黒だから余計に際立つ。ペンギンの手下の登場シーンもサーカス的で舞台に似合う。初作以上に彼の見せたいワールドに似つかわしい作品だった。
ミシェル・ファイファーのキャットウーマン、良かった。アメコミ映画にうまくはまっていた。
ポップでホラーな世界観の中に漂う慈悲
なんでこんなにもアメコミを観て悲しくなるのだろう
こんなにもどのキャラクターにも深く焦点を当てたアメコミがあっただろうか
誰もが二面性を抱えている
もちろん悪役であれ。
もちろん市民に苦痛を与えたペンギン怪人に関して同情はしない。しかし、あの結末を観て本当にこれでよかったのだろうかと考えさせられたのは自分だけではないはずだ。彼はペンギンにもなれず人間にもなれず死んでいったが、これで世界は本当によくなるのだろうか。これがジャスティスだと自信をもって言えるだろうか。その証拠に彼に勝ったとて、バットマンは笑顔を見せない。
正義の勝利で終わらない。それがバットマンの唯一無二の魅力である。
今作で特に取り上げたいのはやはりキャットウーマンの存在。その誕生の仕方から、トドメのさし方まで、すべてが強く、また女性らしくある。様々な面を持つ彼女は普段一般社会で虐げられて生活している者すべての願望の姿。それをうまく描いている。
ミッシェルファイファーよくやってくれたわ…。いい女優やな…。
Curiosity killed the cat. ティム・バートン節全快のバットマン2作目
この作品が面白いのはアメコミ映画なのに全く子供をターゲットにしていないという所ですね。バットマンはもはや脇役であまり活躍してないですし、キャットウーマンはやたらセクシーですし、ペンギンは不気味過ぎますし・・・ティム・バートンの造り出す薄暗い雰囲気のゴッサムシティは子供向けのアメコミ映画とはかけ離れています。前作での成功があったからでしょうけど、ホントよくこの内容で作れたなぁ。
という訳でバットマンと銘打ってる割に、バットマンは出番が意外と少ないです。前作で紹介したのでもはや必要なしと言わんがばかりに、オープニングからしばらく経たないと登場しません。主演のマイケル・キートンがこれを最後にバットマンを降りる理由も分かります。だってバットマン活躍しないもん。その分フューチャーされているのがペンギン、そしてキャットウーマン。
特にペンギンに対する監督の思い入れはスゴいです。出生から始まるペンギンの悲哀をつぶさに描写しています。とても不気味・・・なのにどこか滑稽です。街をロケット爆弾を背負ったペンギンさんが練り歩いていても、怖いというよりカワイイです。だってペンギンさんですよ?カワイイに決まってるじゃん!
キャットウーマンも方も本人はセクシーですが、一緒にいる猫がやたらカワイイ。ミシェル・ファイファーの蘇った時のゾンビを思わせる動きとか、ムチでマネキンの首飛ばすシーンは本人がムチの練習をして自分でやってたりと、色々と頑張ってます。
クリストファー・ウォーケンが出ていたのにもビックリしました。脇を締める俳優さんとしてこの時期って結構引っ張り凧だったのではないかと思われます。
アメコミバットマン映画というより、ティム・バートンの創るゴシックな世界観とクリーチャーへの愛情を楽しむ作品。個人的な趣味を前面に押し出し過ぎて次回作の監督はティム・バートンには回ってきませんでしたが・・・兎にも角にもティム・バートン好きな方には是非オススメです。
再鑑賞履歴
2022/3/13
死ぬほど期待していたので
まあ面白いけど…という印象。
自分としては前作の方が好きだった。
確かに、ティムバートン監督の演出、音楽の使い方は本当にすばらしい。
ヒーロー映画っぽくはないけれども、とにかく適役、キャットウーマンがうまく目立っていた。
ひとつ気に入らなかったのは、どうもペンギン人間を通してそういう人たちを軽視しているんじゃないかと感じるところだ。
彼を騙して裏切ったあの権力者もそうだし、バットマンに関してはお前は悪者だ!って決めつけて痛めつけるいじめ映画にも見えてしまった…
バットマンはヒーローなのかと言うところである。
これが本当の《ダークナイト》
『シザーハンズ』『スリーピーホロウ』『スウィニートッド』・・・
ティムバートンの創造するファンタジーワールドは
みな世界が繋がってる様に思える
この『バットマン リターンズ』は
《クリスマス》が舞台のダークファンタジー
そして マイケルキートンとミシェルファイファーによる大人のラブストーリー
しかし主人公を含めた主要キャラは全員
過去の出来事により心に深いトラウマがあり
完全に精神が分裂している
そんな 社会からドロップアウト ”させられてしまった”
マイノリティ達の群像劇
そして彼らの《アイデンティティ探し》がこのダークファンタジーの
主軸である
この作品の重要なポイントは
主役であるブルースウェインでさえも幼い頃の事件により
マイノリティ集団と同じ境遇に置かれており
1人の悩める人間であるというところ
その消せない傷の矛先が
善と悪に分かれているだけで
基本の原動力は皆同じという悲しみの連鎖
深々と雪が降るプロローグとエピローグや
プロローグ後のメインタイトルが出る絶妙なタイミングと
同じく絶妙なタイミングで始まるダニーエルフマンの
重厚でいてドキドキするメインテーマ曲や音楽たち
すべてが静かな中に力強さがあり
ゴシック調のプロダクションデザインを含めて
オペラの様な重みと美しさを感じる
1作目も同じ雰囲気で
語るべき名場面ばかりだが
2作目の今作はさらにティムバートンのセンスに磨きがかかり
洗練されていて《アマデウス》に匹敵する素晴らしさ
最新のクリストファーノーラン版《ビギンズ》と《ダークナイト》も
素晴らしいが
この《リターンズ》に降る悲しい雪が
今もずっと忘れられない
毎年クリスマスになると1人で観たくなる
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