「まだヒーローとして成り立っていない。そこがいい。」バットマン 太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
まだヒーローとして成り立っていない。そこがいい。
まず、バットマンになる過程は思いっきり省かれている。
いきなりバットマンが登場する。
バットマン・ビギンズのように1時間だらだらとバットマンになる過程を見せられることも無いし、あの年代に制作されたのに、このスーツやアクションの技術は良かった。
まぁ、初めからバットマンなのだが、別にバットマンになってから長い時間はたっていない。なので、「ダークナイト(暗黒騎士)」とかそういうカッコいいあだ名は付いていない。そこから成長し、様々な人に「コウモリ男」から「バットマン」として称えられる(?)までの過程を描く。それが今作のメインではないか。
また、現在、原作のバットマンは「どんな悪人でも絶対に殺さないし、命に危険があっても守り抜く」がモットーのツンデレなのだが、今作は面白いくらいに人殺しをする(無双ではなく、気軽にでもない)。
ん?とは思うが、「やっちまった」という迷いが無い所が「犯罪者は死ね」という間違った正義=未熟さを引き立たせてくれる。
そして今作の監督はティム・バートン。
独創的な表現が良くできていて、さらにそこにジョーカー役のジャック・ニコルソン(シャイニングくらいしか知らないが)が加わることで、素晴らしい作品と感じられる。
とにかく素晴らしい。アクションやストーリー、悪役の犯罪行為のしょうもなさは、ヒーロー映画の中では全く色あせる気配が無い。
が、しかしだ。
問題は主役のバットマン。
いつも「バットマンにあの髪型は無いわ・・・・」とか「あの髪型でよくマスク被れるな・・・・・」と、常に髪型のことを気にしてしまう。
ただ、先ほども言ったようにジョーカーの悪役らしさ、そしてバットマンの「首が回らないから、上を向く時には背中を反らさなければならない」という萌え属性・・・・・ゲホンゲホン、まぁ、とにかくジョーカーとバットマン、どちらもコミカルで良い。
「流石ティム・バートン」な1本だと思う。