劇場公開日 1989年12月2日

「スーパーヒーローというよりもファンタジー」バットマン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5スーパーヒーローというよりもファンタジー

2013年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

総合:70点
ストーリー: 55
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 75

 あまりこの手のアメリカン・コミックのスーパー・ヒーローものは好きではなくて敬遠していた。どうせ子供向きだろうという思い込みがあるし、ゴッサムシティに住むただの一民間人が突然蝙蝠の恰好をしたかと思うと夜な夜な町に出現するという設定に、日本の一民間人としてはどうしてもまず気恥ずかしさを覚えざる得ない。もし隣人が突然蝙蝠スーツを着てそんなことを始めたら、馬鹿じゃないかと思うことだろう。そんなわけで設定にのめり込めないというのがあった。

 さて本作だが、ティム・バートン監督というのもあって、ヒーローものの中にもファンタジーというか童話のような演出がされている。悪役のジョーカーは凶悪犯罪者というよりも道化師のようで、ジョーカーがテレビを壊すときにはわざわざ機械仕掛けのボクシング・グローブでブラウン管を破壊する。伝統的なスーパー・ヒーローものではないファンタジー・ヒーロー、そのように監督の感性が強く出ている。
 従来な単純なヒーローものよりは一捻りある一歩進んだ作品となっているし、ジョーカーの存在感は高かった。正義と悪の戦いよりは、いろんなおもちゃを使いこなすヒーローをかっこよく描くことと、華のある悪役の狂気を芸術的に描くことに主眼を置いている。それは映画の中で展開されたショーのようであった。新しい演出でそんなに悪い作品ではなかったが、でもやはり幼いころからバットマンに親しんできたわけでもない日本人として、躊躇なく素直にはまれたわけでもなかった。このあたりは文化や幼少期からの経験上の違いもあるだろう。

コメントする
Cape God