ハリーとトントのレビュー・感想・評価
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諸行無常
72歳の元教師ハリーと黄トラの猫トントの訳ありロードムービー。
冒頭からのエピソードで年寄が苦労する話に思え気が重くなる、不景気の時代なのだろう人間関係もせちがらくあまり感情移入できず退屈なのでなんで猫が出てくるのか考えてみた・・。
ロードムービーは色々な人との出会いがテーマとなる、一人旅より猫がいることで初対面でも相手の警戒心が薄まる効果はあるのだろう。時間繋ぎや転換のきっかけにも使える。特別な猫でなく平凡な黄トラであれば役者を食うこともない。したがって猫や犬は脇役として重宝なのだろう。思い出をなぞりたがるのは先の見えた年よりの行きつきそうな既定路線、老親が子供たちを訪ねるシチュエーションは小津監督の名作でもあるし、止せばいいのに昔の恋人まで訪ねてしまう、予想通り落胆の方が大きいのも古今東西、相場なのだろう、暗い話になりすぎると考えたのか、陽気な娼婦、奇妙なセールスマンやインディアンまで出してコメディ風に味を加減するのだがトントも虹の橋を渡り孤独老人の行く末やいかにと思ったら猫好きの老婦人からラブコール、トントそっくりの野良ちゃんまで出てきてなんとかほのぼの風でエンディング。この時代にこの手法を編み出した点は買いですが心の揺らせ方が実に雑な脚本でありました。
よかった
20年前くらいにレンタルビデオで見て以来、初めてのスクリーン鑑賞。気難しいおじいさんが猫と暮らすような内容だったような気がしていたけど、全然気難しくなかった。長男の嫁に気遣いしていて、むしろ調整役をしていたくらいであった。
老後の事を考えると暗い気分にしかならず、ハリーのように海の近くで安息に暮らせたら素晴らしい。
旅の途中で出会う人々が善良すぎる感じはあった。もし自分がヒッチハイクなんかしたら悲惨な目に会うことしか想像できない。ファンタジーに近いものとしか捉えられない。
顔力と嫌々
まず私が古い映画を見慣れてない、という点は先に言っておかなければならないかも知れない。
私は最初、今作の評価は星3つだった。
しかしレビューを書くためにハリーの行動の数々、シーンの数々を思い起こすにつれ、あれ?あのシーンも好きだぞ。あのシーンも心に残った。と、いつの間にか星は4にまで上がっていた。
どうやら私はこの映画が好きなようなのだ。
そしてどうやらこの映画は世にいう「スルメ」映画なのだ。
ハリーはあまり否定をしない。
誰の考えも行動も受け入れる。
ひったくりと強制退去された時ぐらいだろう。怒りの感情を見せたのは。ハリーは自分の居場所を奪うものには敢然と立ち向かうのだ。
そしてハリーは自分の居場所を探すために信念を曲げない。
ハリーの強さは憧るものであると思う。
あと映画の見どころとしてはアート・カーニーの顔力とトントの抱っこをされてるときの後ろ足の「嫌々」。
ハリーとトントが心で繋がっているのが伝わりつつも、ベッタリではない辺りも好感のもてる点だろう。
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