劇場公開日 1991年5月25日

「【お祖母さんと4人の孫が経験した”一夏の不思議”な出来事を美しい田園風景を背景に描く。人間愛と希望と平和のメッセージでもある作品。】」八月の狂詩曲(ラプソディー) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【お祖母さんと4人の孫が経験した”一夏の不思議”な出来事を美しい田園風景を背景に描く。人間愛と希望と平和のメッセージでもある作品。】

2020年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ー 今作で印象的なのは、長崎郊外の田園風景の美しさである。(これは、前作”夢”から引き続いていると感じた。) -

 ある日、お祖母さん(村瀬幸子)の下にエアメールが届く。
 ハワイに住むお祖母さんの兄、錫二郎(で、大富豪)が、死に瀕してお祖母さんに会いたいという内容である。

 手紙を書いたのは、錫二郎の息子のクラーク(リチャード・ギア)。
 だが、お祖母さんは、錫二郎という兄の記憶がない・・。

 孫たちの親たちは興奮して、ハワイへ行ってしまう。(ここら辺は唐突感を覚える・・)
 そして、残された4人の孫たちは長崎の街から少し離れたお祖母さんの農家で夏休みを過ごす事になる。
 (黒沢監督は邪念のある”大人”を退場させて、お祖母さんと孫の交流を描きたいのかな、と勝手に解釈。)
 という設定のため、物語自体がファンタジーめいてくる。

 そして、お祖母さんと4人の孫は少しづつ話をする中で、原爆でお祖父ちゃんを亡くしたお祖母ちゃんの気持ちを理解していく・・。

 そこに突然、ハワイからクラークがやってくる。(私は彼を狂言回し的に観ていた。)

 クラークとお祖母さんは言葉は余り通じずとも、心が通い合っていく。
(月光の下、二人が手を取り合いながら、縁側に座る姿は忘れ難い程、美しい・・。)

 錫二郎の訃報が届き、ハワイに帰っていくクラーク。
 お祖母さんは、徐々に哀しき過去を思い出す・・。

 そして、流れるシューベルトの”野ばら”・・。

<物語自体、ファンタジー要素を纏いながら、”人間愛と希望と平和のメッセージ”を発信する作品。
 吉岡秀隆、大寶智子(”1999年の夏休み”は忘れ難い・・)を始めとした孫たちとお祖母さんの不思議な一夏の美しい田園風景が忘れ難い作品である。>

■追記
 当時の資料には、山田洋次監督の”フィルム窯変説”を始め、フェデリコ・フェリーニが黒沢明に宛てたメッセージが記載されている。

 どちらも、必読の名文であると思う。

<1991年6月、劇場にて鑑賞 その後、DVDで、夏になると数度鑑賞>

NOBU
everglazeさんのコメント
2022年8月4日

私には高尚で難しかったとです。

everglaze