八月の鯨のレビュー・感想・評価
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こういう映画を素晴らしいと言えるといいんでしょうね
どういう作品かというと、
・岩波ホールで長期上映
・淀川先生が大絶賛
・キネ旬ベスト10 (評論家4位、 読者10位外)
と並べればわかるでしょう。
老姉妹が海辺の別荘で語り合って、それ以上の展開はなく、難解さもないので話の内容や主題云々ではなく、ひたすら低徊的な画面設計に特徴があると言えましょう。その意味では小津的といえるかもしれません。
よくも悪くも大衆小説的要素のない「純文学」的作品なので、淀川先生のように絶賛する人も多い反面、全く面白さがわからない、という反応も正常でしょう。
自分の映画観が変わった作品
ドライビングミスデイジーが好きで関連作品を探して出会ったのがこの作品。
最初は「老いに対する葛藤が〜とか、残された人の思いが〜、とかいう展開だろう」と思って見ていた。
が、何も起こらない。
好きな映画は?と聞かれたら、この作品はまず入るんだが、それでも最初から最後まで通しでみられたことがない(苦笑)
二人の老姉妹の日常が描かれた作品。 至極平和。 直接描かれなくても登場人物が背負ってきた人生が見えてくる感じや、何気ない上品な演技が心地よい。
【”情熱と真理が有れば生きていける””人生は思い通りにならないモノ”L・ギッシュ91歳、B・デイヴィス79歳にして演じた確かな演技が印象的な高貴な風合の作品。】
■高齢の大物俳優、L・ギッシュ91歳、B・デイヴィス79歳たちが見せる老練でいて自然な演技が素晴らしい。
人生の経験を積んだ姉妹の交流は、些細なことでもさまざまな含蓄を感じさせて目が離せなくなる。
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長い人生のほとんどを一緒に過ごしてきたリビー(ベティ・デイビス:恥ずかしながら、初見である。(多分)彼女の名前は”ベティ・デイビスの瞳”で知った年代であるので)とセーラ(リリアン・ギッシュ:同じく初見である。名前のみ記憶する)の姉妹は、夏になるとある小さな島にあるセーラの別荘に滞在する。
毎年8月になると、島の入り江に鯨がやってくる。
鯨は今も変わらないが、彼女たちの人生は現在に至るまでに大きく変化していた。
◆感想
・物語としては、L・ギッシュと、B・デイヴィスを同世代で観ていない事もあり、二人の気位高き老婦人たちが、夏場に避暑地として訪れる姿を、淡々と描いたモノに見えた。
・史実を紐解くと、お二人とも大女優であり、私であったら出演を拒むようなお年であるが、矍鑠とした台詞回しや、気位高き姉、リビーを演じる白髪のベティ・デイビスの姿や、寛大な妹セーラを演じたリリアン・ギッシュの柔らかな演技に驚いた作品。
<お二人の気品ある演技に、一時代を築いた女優根性を感じ、姿を見せない鯨(これは、お二人を暗喩したものではなかったか・・。)を待つ姿が印象的な佳品であった。>
世の中で最も何も起こらない映画の一つと言っても差し支えないかと。 ...
世の中で最も何も起こらない映画の一つと言っても差し支えないかと。
そもそも鯨すら出ない。
24時間程の間のお婆ちゃん達の会話劇。
長く一緒に居すぎて、少しささくれだった感情が、ほんの僅かだけ柔らかくなる。
それだけなのに、人生が明るくなったような愛しさを感じる不思議。
時間ゆったり
けっこう前に同名の渋谷の映画バーに行ったのをきっかけに鑑賞。
鯨が見れる季節になると岬にある老いた姉妹の家に様々な人達が立ち寄りにくる。静かにゆったり人生の交差点が行きかっていく。映画1本1本と観客との関係もこういうものかもねって思えて、お店の名前に納得なのでした。
こんな映画もあるんだな、かもめ食堂の前進って感じでのんびり見るのにちょうど良い感じ。
一日半の物語の後ろにある歳月
観ているうちに自然に目がウルウルしてくる。映画でこんなに可愛いおばあちゃん(リリアン・ギッシュの方)とこんなにキレイなおばあちゃん(ベティ・デイヴィスの方)を見たのは初めて。
老後の生活の参考に・・・
すっかり老人になってしまった彼らの日常。サラは頑固な姉リビーの世話をし、幼なじみのティシャがブルーベリーを摘み遊びに来る。一日前に連れ合いを亡くしたマラノフ氏が釣りを楽しみ、ジョシュアは水道管を直していた。そして今夜はマラノフ氏が釣った魚をリビーとサラとで食べようという。
鯨は結局登場しないが、またあの鯨を見られるんじゃないかという希望が最後には訪れる。大きな窓を作ることに反対だったリビーも最後には自らジョシュアに発注しましたから。ただ、ストーリーよりは名女優たちの演技力。良い映画なんだろうけど、心打たれるほどではない。どちらかと言えば文芸的。
ばあちゃんふたり、マジで萌え映画
リリアン・ギッシュは、散りゆく花など数本見た。
今から20年くらい前にビデオで借りてみたのだ。
その可憐さにものすごく心ときめいたのを覚えている。
こんなに映画スターでときめいたことも他にない。
そのリリアンが今回見た映画はおばあちゃんだった。
ベティ・デイヴィスもすっかり老けてしまって。
なんだこれは?と一瞬思うが、この二人が今でも映画に出続けているというのが素晴らしい。
それだけでこの映画を見る価値がある。
そればかりではなく、この二人。本当にかわいい。
ベティ・デイヴィスのツンデレに萌え。
ずっと萌えキャラなリリアンギッシュのセーラばあちゃんに萌える。
どんな場面でも二人は私を萌えさせてくれる。
こんなに萌えるのはアニメでも稀である。
美しい心と、美しい海辺の暮らし
人間ひとりひとりのの質というものは、年老いても変わらない。逆にそれが際立ってくるのは、身を置く環境や身に付けるもの、口に入れるもの、口から出す言葉を、自ら無意識に、繰り返し選んで生き続けるから、なのだと思う。年老いてなお美しい心と、美しい海辺の暮らしに憧れたものです。
緩やかな時間
学生の頃、映画館でこの映画を初めて観た時は、可愛いおばあちゃんの映画だなぁと思ったような気がする。映像と音楽が美しくて、好きな映画だった。
そして、20年以上が経ち、大きなスクリーンで、またこの映画を観ることができて、とても嬉しい。
人生を折り返している今の私には、最初に観た時には感じられなかったせつなさや温かさを感じることができたと思う。以前のまだ若かった私には、年老いることなんて、想像もつかないし、別世界のようであったし、他人事のように見ていたからか、涙なんて流れなかったけれど、老後がそう遠くはなくなってきた今は、往年の俳優たちの演技に涙がポロリとこぼれた…。
髪もすっかり白くなって、残りの人生も長くはなくなってきた年老いた2人の姉妹。
リリアン・ギッシュのチャーミングな演技は、かすかに記憶していた通り。銀髪をアップにするシーンだけは、なぜか印象深く覚えていた。
カントリーなインテリアも素敵。
棚にあったバラの絵柄の缶は、私が昔イギリスの蚤の市で買って持っているものと同じで嬉しかった。
年を重ねても、毎日を大切に笑顔で生きていきたい。
尊厳と優麗。
往年の大女優を筆頭に、総て大御所でとり揃えられた映画。
2013年にニュープリントされたものを名画座にて鑑賞。
L・ギッシュとB・デイヴィスの共演というだけでもすごい。
もちろんリアル期に私は生まれていないので、全部ビデオ。
お二人とも瞳が印象的な女優さんだった。特にベティの方は
歌のタイトルにもなった「ベティ・デイビスの瞳」が懐かしい。
映画では「イヴの総て」が最高に面白く何回も観た記憶がある。
彼女は実生活でも今作のリビーのような性格で^^;
それをまんま持ってきたのがあの役どころだというのも凄い。
また、マラノフ役のV・プライスは恐怖映画の常連だったので
私はよく知らない。が、マイケルの「スリラー」の怖い声の人で
非常によく知る人物となった。他にA・サザーン、H・ケリー・jr、
若い頃のM・スティーンバージェンも過去の役で出演している。
老いと死、今でいう「老人介護問題」が色濃く描かれている。
当時のメイン州で同じようなことが描かれていたのを実感する。
老人が老人を看る時代。頼る人間もなく(実際には子供がいても)
行く宛のない老人たちの、それでいて死ぬまで尊厳を失わない
凛とした生き様。それが二人の大女優によって淡々と描かれる。
実際の年齢を逆手に取り、リリアンを妹に、ベティを姉に、と
いう配役も面白いが、二人の性格までも見通したような演出が
冴え渡っている。
現在になって観てみて、確かに時代を感じる部分は多かれど、
いつかパートナーを失って老いていく身上と、残りの人生を
美しく楽しく生きていきたいと願う心情は、十分に理解できる。
誰もが美しい過去を憂い(また鯨がやってくると)再来を願い、
目耳足腰に自由が利かなくなった身体に対抗しながら生きる。
だけど想い返した時にいつでもいい人生だったと言えるような
そんな生き方をしていきたいと思うのみ。歳月が総てを物語る。
(往年の大女優の演技の細やかさをあらゆる所作に見てとれる)
お迎えが来る日迄、自分のペースで生きる事は素晴らしく美しい
あなたは、新作劇場公開作品を映画館で観る時以外に、映画をDVDレンタルする時には、レンタルする映画をどのような基準で選んでいるのだろうか?
名監督作品、或いは好きな俳優が出演している映画を選んで観る事が多いのだろうか?
それとも、特別に好きなジャンルの作品があり、その好きなジャンルの作品を数多く観ているのだろうか?
例えばコメディー好きの人なら、ハリウッド作品ばかりでなく、フレンチコメディーなども、お笑い映画と名が付く物ならどんどん観る事にしているのだろうか?
例えば、邦画では夏には、戦争映画は必ず新作が公開されるし、一昔前なら、「寅さん」シリーズや「釣りバカ」シリーズのように、決まったシーズンには必ず公開される映画がある。洋画でも、クリスマスシーズンはクリスマスをテーマに絡めた作品が公開されるなど、その時節と映画は密接に関係しているものだ。
そこで今月は新作公開作品以外で、8月に縁が有りそうな映画を独断と偏見で勝手に私がセレクト「8月に観たい私が選ぶ名画」と題して何本かの名作を推薦してみようと思う。
映画ファンには絶対に観て頂きたい8月に関係ある作品の候補として名を挙げるなら、第1番目の作品は、「八月の鯨」だ。
今年は、東京の単館系劇場の老舗として名高い岩波ホールが、創立45周年を迎えた事を記念して、ニュープリントでリバイバル公開された作品でもある。
そしてこの「八月の鯨」は、岩波ホール史でも公開された当時は、記録的なロングランヒットとなった歴史的記念作品といえる。更に今年は、奇しくもこの岩波ホールの総支配人を務めていた高野悦子さんが亡くなられた。不思議な因縁の作品とも言える。
さて、物語は、ベティー・デイビス演じる気難しいリビーと、年老いても尚も、ポジティブ思考で日々自己の楽しみを見つけ出し、生活に新たな変化を取り入れようと明るく心優しい性格のセーラをリリアン・ギッシュと言う2大女優を迎えて描き出す。
大きな人生の変化も現在では無くなった、年老いた姉妹の日常を描いただけの単調な映画と言えば、単調では有るのだが、しかし、これが実に素晴らしい名画なのだ!!!
これぞ、名作中の名作である。映画ファンであるなら、この映画を観ていなければ死ねない?とはチト大袈裟かも知らないが、それ程にお薦めしたい映画だ。
同じ親から生を受け、そして子供時代を共に同じ環境で過ごし育った家族でありながら、コインの表と裏の様に全く真逆とも言えるような性格のギャップの有るリビーとセーラが、再び年老いて、子供時代に暮していた家に共同生活をする事になって、一夏を送っているその静かな?生活の日々を淡々と描いていくだけの映画でも、そこに流れる人間の姿は、万人に共通する老後の生き方と、気持ちの在り方が見事に描き出されている。
私の駄文では、この映画の素晴らしさを伝える事は到底出来ないので、先ずは是非映画を観て下さいねとしか言えないもどかしさが募る。高齢化社会が問題になっている日本人には決して他人事ではない、自己の老後の気持ちの有り様を熟考し、今から準備を整えたい自己の老後を生きる為の、名作の一つとでも言うべき作品なのです
老いという熟成
年老いた二人の姉妹。海辺での静かな暮らし。淡々と続く日常。大事件は起こらないものの、しんみりと美しく、人生と死について考えさせられました。若い頃に観ていたら退屈だったと思います。人生も半ばにさしかかった今、観ることができてよかったです。
本作が遺作となったリリアン・ギッシュ、当時93歳とは信じられません。とっても可愛らしい。ベティ・デイビスは当時79歳。往年の大女優、二人ともさすがの存在感です。しかしこの年齢差でリリアン・ギッシュが妹役というところがまた面白い。
人は誰でも老いるもの。表面的なモノや美しさなど簡単に失われていく。そうなったとき、自分には何が残っているだろう。しわだらけの2人の手がしっかりと繋がれたときには涙がこぼれ、ぼんやりとそんなことを考えていました。
白髪って美しいものですね。こんなふうにしみじみと感じたのは初めてかも。
(Myブログより抜粋)
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