「抹香鯨」白鯨 ヤマサミさんの映画レビュー(感想・評価)
抹香鯨
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ものすごく昔に、大変つらい思いをしながら原作を読んだ。なにが大変って、現代日本人としては帆船の構造や捕鯨の仕組みがよく分からんので理解が追いつかない。でも物語の大半はそのあたりの知識の羅列である。そして暗くて重い。キツい。でもスゲーいい作品なんだよな…。
という記憶だけはあるので、アマプラで映画を見つけてさっそく再生。
原作より先に映画が観たかったな…当時あんなに想像が難しかった捕鯨のやり方がビジュアルとしてわかる…。
さすがに原作ほどの重厚感はない。うっすらした記憶だけど、原作ではもっと船員たちに熱いやり取りがあった気がする。でも陰鬱な雰囲気を上手く描いているし、迫力もある。この時代によくこれだけの特撮ができたなあ。帆船を思う存分堪能できるのは大変よい。
ラスト、船が渦に飲まれてゆく様は、かつて原作を読んで思い描いた通りだった。感動した。あの虚無感がたまんねえんだ。
モビー・ディックあんな追い回されてかわいそうだな…と思うけど、この物語は捕鯨のリアルさと対象にストーリー自体は非常に観念的なものなので、モビー・ディックもなにかの象徴としての存在でしかないのだ。つまり追い回されるかわいそうなクジラは実在しないってこと、よかったね…。
「これのためなら死んでもいい」というタイプの人が出る物語が好きなんだけど、まさにそういうアレなので私はやっぱり白鯨が好き。そういうのが理解できない人には全く刺さらない話だろうな。一部の人間には銛のごとく刺さるのである。あと主人公とクィークェグの関係がエモい。
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