「とても面白い.抑止力として開発を進めていた核兵器が人間だったり機会...」博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか しょうけらさんの映画レビュー(感想・評価)
とても面白い.抑止力として開発を進めていた核兵器が人間だったり機会...
とても面白い.抑止力として開発を進めていた核兵器が人間だったり機会だったりの誤作動で先制攻撃に使われるという逆説は昔から取り上げられてきたものだけれど,それをこれだけリアリティのある形にまとめたこともそうだし,それ以上に登場人物の臭みがすごすぎてとても面白かった.印象に残ったというか吹き出してしまったのは,米露の直通電話での政治と社交の入り混じった妙な会話だったり,公衆電話のためにコークの自販機を打つときの訴訟の話だったり,アメリカの文化を皮肉っているところが最高だった.タイトルに出ている博士は意外と登場の機会は少なくて,そして結構無茶苦茶なことを言っている.軍の長官も結構ゆがんだ利害関係を表現していたけれど,それと同じくらい問題解決にしか興味がないとああいった感じになるんだろうか.その問題解決の主張も,緩やかに権力者の利害を織り込んでいて,科学者の悪いところが絶妙に詰め込まれていたのもよかった.ソヴィエトの領事は最期のシーンで懐中時計のダイヤルを回していたけれど,あれがなんだったのかは結局よくわからない.そしてエンドロールの原子爆弾の炸裂の動画は,それが大量破壊兵器であるという倫理的な問題を抜きにすれば,とても素晴らしいものだった.
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