ハイヒールのレビュー・感想・評価
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単純に音楽が坂本龍一だったことで鑑賞しました。 娘が母に抱く嫌悪感...
単純に音楽が坂本龍一だったことで鑑賞しました。
娘が母に抱く嫌悪感と愛情ほしさゆえに起こした行動から事件が起こる。
印象には残りませんが、楽しい作品でした。
今度はアルモドバル版「秋のソナタ」か?
①本格的な映像作家になってきた気がする。かなりシリアスな題材だが、レタルの楽屋でのセックスシーンや女囚刑務所の中で突然始まるミュージカルシーンとかはそれまでのアルモドバル映画のコミカルな味は残っている。②今回は懐かしい映画のポスターや映像は出てこないが、主役の片方である娘のレベーカの口から、もう片方の主役である母親のベッキーに直接ベルイマンの『秋のソナタ』の大筋を語らせている。母であることより自分のキャリアを優先させた母親に対する娘の愛憎・葛藤を描いている点で両作は共通している。③アルモドバル映画でドラッグクイーンのリップシンクが見られて、アルモドバルらしいシーンだと嬉しかったが、その後ゲイであると思っていたレタルがレベーカとセックスするシーンはコミカルながらやや不自然に思ったが、実は大きな伏線であったことがわかる。この辺りの脚本が上手い。レタルの十八番の物真似がベッキーなのが出来すぎというかやや作りすぎ感が否めないが、後半のヒッチコックの「めまい」を彷彿とさせるアッと驚きの展開の衝撃度の前に霞んでしまう。
赤/CHANEL/ARMANI
個人的に「ハイヒール」「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール」が、アルモドバルの母親3部作だと思うのですが、「オール・アバウト・マイ・マザー」以降のアルモドバルの作風の土台となったのは、やはり今作ではないかと感じました。
これらの作品に出てくる男(父親)はろくでもない奴ばかりなので、女性から復讐をされたり、要らない存在として描かれます。ここまで女性の気持ちをはっきりと体現できるから、アルモドバルは女性の共感が得られるのではないでしょうか。女性は根本的な部分で男性を必要としていないし、男性の事をあまり好きではない。この女性にしか分からない事実をアルモドバルが分かってしまうのも凄いです。
今作は母娘の確執というよりも、ベッキーというひとりの女性への強烈な憧れを描いている様に感じました。母親に近づきたいから、母親の元恋人と結婚したり、赤い服を見に纏うのです。好きだから、真似するのです。
オープニングから直ぐに美しくカッコ良い女性のオンパレードで、アルモドバルワールドに引き込まれました。CHANELのスーツも、アルマーニのスーツも、赤いハイヒールも、全てが本当にスタイリッシュ。ああ、私も真似したい。
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