「演技バトルが凄まじい」ネットワーク 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
演技バトルが凄まじい
50年前の評判作を初見。当時マスメディアの中心的存在となったテレビネットワークを舞台に、視聴率競争に翻弄される業界人たちの姿を描く。
冷静に考えれば、さすがにそこまで酷いことはないだろうという物語展開だが、シドニー・ルメットのソリッドで緩みない演出で、あり得るかもしれない説得力ある話として引き込まれる。主人公2人の恋愛要素も相当無理があるが、そこはハリウッド映画らしいところか。
とにかく、俳優陣の演技バトルが凄まじい。アカデミー主演賞をとったフェイ・ダナウェイとピーター・フィンチは、長台詞をものともせず、鬼気迫る勢い。出番は少ないものの、ウィリアム・ホールデンの妻役と親会社の会長役も上手いなと思って、後から調べると、2人ともアカデミー助演賞にノミネートされた(妻役のベアトリス・ストレイトは受賞)とのこと。
預言者のようになったテレビキャスターの呼びかけに応じて、視聴者が次々と外に向かって「もう我慢できない」と叫ぶシーンが印象的。今だったらSNSになるのだろう。メディアが変わっても、扇動の具になり得ることを改めて考えさせられる。
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