寝ずの番のレビュー・感想・評価
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隠れた名作
原作があまりに面白かったので見てみれば映画も十二分に面白かった。
関東の俳優さんの無理な大阪弁には違和感感じるも、それを補って余るほどの演技力。
メインを引っ張る俳優陣はいずれも名優ぞろいで原作のイメージを損なわず楽しめました。
中井貴一さんの役どころも狂言回しとしてバランスよく、各エピソードのメイン長門裕之、富司純子は往年の名優の貫禄を見せつけてくれます。
ストーリーは物語がきちんと筋道立てた吉本新喜劇と言うか、ギャグ多めで店舗のいい松竹新喜劇と言うか、さすが中島らも原作で細かい事実に即したエピソードを知らなくても十分に笑える名作です。
公開当時どの程度評価されたか分かりませんが、現在の世間の評価よりもっと評価されるべき作品だと思います。
R35じゃない?
原作は読んだ事ない。
中島らもというから、それこそ「あほやなあ」ってワールド満開。
上方の風俗には詳しくないのだが江戸時代、江戸でも通夜となれば関係者が集まって、愛のある悪口大会でおおいに盛りあがったそうな。
どうせなら自分も送られるときはこんな感じでありたいと思います。
たぶん映画よりは大分下ネタ無いと思うけどね。
冒頭から最後まで、これでもかという下ネタオンパレード!エロっちゅうより、す・け・べ・え、です。艶笑というのですか?この世界。
若者はおそらく入り口にも立てない映画だと思うのでR35指定が正しい!たぶん!若いOLさんが眉をひそめるような下ネタオヤジギャグな匂いがプンプンしております。
しかし普通に集まって聞く面白い話と、映画で面白いっていうのはなかなか…難しい関係ですね。
構成の工夫がほしかったなあ。
この映画で初めて中井貴一の都都逸聴きました。
いい声で驚いたなあ!惚れ惚れしました。
出演陣がみんな芸達者…
落語一門のストーリーだけに、出演陣がみんな話し上手で、仕草、表情が素晴らしい。本物の噺家みたい。妻役木村佳乃も好演。寝ずの番をしながら、故人を偲ぶ、そこは故人も落語家、語るも落語家だけに粋で艶っぽくて、何よりも面白い。こんな風におくってもらえたなら幸せ、浮かばれるなと思う。今はこの様な文化風習はほとんど消えつつあるが、故人を偲ぶ機会、それがどんな話でさえ、良いことだなと思う。そそとそとは笑える。
山中温泉に混浴露天風呂はない
キネ旬映画検定においても重要な人物となっているマキノ省三監督。その孫にあたる津川雅彦がマキノ名義で挑んだ初監督作品だ。伊丹十三作品にも伊丹夫人宮本信子とともに名コンビを組んでいたときが最も輝いていたように思いましたけど、とにかく色んな映画、テレビに出まくっている津川雅彦。う~ん、どうなんでしょう。
物語は上方落語界の重鎮といわれる師匠、一番弟子、おかみさんと立て続けに亡くなってしまう。その通夜での思い出話が中心となる。最初に亡くなった橋鶴師匠は監督本人か?と、注意深く見ると兄さんの長門裕之でした。年配のほうから順に亡くなるという自然の法則に逆らわない運命はそれほど悲しくならないし、通夜の席上で艶話をすることにしても故人の名誉に関るほどではない内容。むしろ、故人の武勇伝のような話で盛り上がるのは嫌悪感もわいてこないのではないでしょうか。つまり、小ネタばかりで、心に響くものが何もない・・・
不思議なことに、連続して一家から葬式を出すということは実によくある話。それぞれ共通の親戚や知人がいると、香典による出費がかさむものであります。知人が次々と死んでいって、いざ自分の番になると知人も少なくなり、香典がほとんど入ってこないということになり、しかも死んでしまうのだから自分には全く金が入らない・・・長生きすると全くメリットがないというオチまでついてしまいます。それこそ、幽霊になって天井の隅から自分の通夜を覗きたくなというものです(な、わけないか・・・)。
大学時代のクラブ・コンパ(合コンじゃなく)を思い出してしまうほど宴会ネタが多く、「あぁ、当時に見ていたら、確実に使えるネタなのに・・・」などと、今の大学生がうらやましく思えてきました。ちなみに大学は“そそ”じゃなくて“べべ”と呼ばれる地方でしたが、色んな呼称を覚えた時代でもありました・・・
良かった俳優は、ベテラン・バイプレーヤー笹野高史と高岡早紀。普通の家族なのか、上方落語一門なのかよくわからない演技や設定はテレビドラマの域を越えないような気もしました。もっともテレビじゃ放映できない下ネタばかりでしたが・・・
【2006年5月映画館にて】
終始猥談の艶笑喜劇
六代目笑福亭松鶴師匠がモデルの上方落語一門の通夜話を綴った終始猥談の艶笑喜劇。
破天荒な奇才中島らも原作だからハチャメチャ振りは察しがつこう。
日本映画の開祖マキノ監督を名乗った津川さんが監督、兄さんの長門さんが上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴を演じるほか実に豪華な出演陣はご両人の芸歴、人望の広さを伺わせます。
縄文土偶に女性器が彫られていたり、地方の祭りなどでも男根が祭られていたり五穀豊穣と子孫繁栄にかけてあっけらかんとした性の文化が日本人の根っこにあることは認めざるをえませんが、こうまで露骨に猥談や艶笑都都逸三昧を浴びせられるとは、圧倒されっぱなしでした。
女性陣には酷な映画かと思えば木村佳乃さんはじめノリノリでした。見栄とやせ我慢の江戸の庶民文化に比べ本音全開の上方衆のエネルギー感の凄いこと、お通夜の話なのに溢れる生命感はなんということでしょう。万人受けは無理でしょうが遊び人の親父や旦那衆にはバカ受けと思われます。
ふさわしい
2018年8月8日 の今日津川雅彦さんの訃報が知らされました
弔いに津川さんが監督された作品を何か観ようかと思案し真っ先にこの作品が目に入り今見終わりました。
内容など何も知らずに見ていたら泣けてくる泣けてくる
弔いにはもってこいの粋な映画
寝ずの番には寂しさ辛さを吹き飛ばすほどの明るさとユーモアがあればこの先も乗り越えられるのだな
今夜この作品を観たのも何かの縁
マキノ雅彦様
たいへん笑わせていただきました
まさか貴方の為にこの映画を観ることになるとは思いませんでした
そして笑ってお別れができたことに感謝します。
良い旅をなさってくださいね。
下ネタ映画
噂どおり、下ネタ映画でした。粋と言えば粋なんだけど、正直ギャグとしてそれほど面白くなかったかな、と。
あと、通夜の晩に故人の思い出を語るという形式なので、「そうそう、そう言えばこんなこともありましたで」と言えば、何の脈絡もないエピソードをいくらでもつないでいけるんですね。だから細かいネタのオムニバス的で、全体を通した大きなストーリーのうねりみたいなものを感じませんでした。もちろんそういう映画があってもいいわけですが、私的には好みではありませんでした。
芸人の宴。
わざわざ、池袋まで出向いて鑑賞。
大人のしゃれが満載。こんなんで笑ってしまっては下品なのではなかろうか、と思いつつも笑いが止まらない。
なんといっても、中井貴一の真面目さが実におかしかった。真面目に芸人さん。人情話なんかで客を泣かせた裏では、下ネタで周りの笑いをとっていそうな感じ。いかにも師匠って呼ばれていそうな感じが出ていた。
三部構成で章立てしているような、つなぎが目立ってしまった感じが残念だった。途中で現実に引き戻されてしまった。
マキノ雅彦監督はまだ第一作目。堅実さは分かった。
往年の松竹らしさが出た
これでいいのかと思うほどの下ネタ連発。ただ、原作通りで映画化に当たっての工夫はない。
中井貴一が木村佳乃を迎えに来たカットなどは、往年の松竹映画を思わせるカメラワークが見られる。親に連れられて、地元にあった松竹系の箱に通った頃を思い出す。
ラストを飾る?下ネタ歌合戦は、堺正章の声が聞き取りにくい部分もあり、歌詞をスーパーにしてくれたらよかった。昔の映画によくあった、歌詞の上をボールがポンポン跳ねたら尚よろし。
p.s. 芸人さんにはかなり受けたという。
高校生の息子と見たいライト下ネタ映画
出だしから笑えます
全体的に下ネタが多いのですが、
決して下品じゃない
むしろ上品に感じます
一流どころの役者がまじめにやっているからなのでしょう
息子と下ネタ会話を避けている
ようなおとうさん
家庭でくすくす笑いながら見ることができまっせ
テレビではマネのできない映画らしい映画を撮る
映画「寝ずの番」(マキノ雅彦監督)から。
R15指定作品で期待させたが、久しぶりに声を出して笑った。
バラエティの漫才より、よっぽど質の高いお笑い喜劇だが、
俳優・津川雅彦さんの監督初作品らしく、大満足だった。
内容は、いつものように観てのお楽しみだけれど、
仲の良かった仲間が集まって、死んだ人の思い出を語るだけの
単純そうなストーリーの中に「艶」が感じられ
私は元気をもらい、帰宅後こうやってパソコンに向かっている。
今回の一言は、帰宅後、作品パンフレットで見つけた
マキノ雅彦監督の意気込み。
韓国を始めとした泣ける純愛映画より、私はこちらの方が好きだ。
お通夜に寝ないで線香(死体)の番をする「寝ずの番」は、
何よりも故人と共にした時間と、多くの思い出が必要である。
隣で観ていた身も知らずの人の大きな笑い声が、
とっても新鮮に聴こえる不思議な作品だった気がする。
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