「突き放す愛」ニュー・シネマ・パラダイス 3時間完全オリジナル版 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
突き放す愛
苦しい別離だけど、
アルフレートも母親も
トトに捨てられること、置いていかれること、30年も音信不通であること―を至上の喜びとして喜んでいる。
こちらの思いではなく、ただひたすらにトトの成長と彼の自由、そしてその将来の可能性が花開くことだけを大人たちは願っている。
一体なんという愛なのだ。
「もうお前とは話さない」
「お前のうわさを聞きたい」
と海辺で。
「帰ってくるな、私たちを忘れろ」
「手紙も書くな、郷愁に惑わされるな」
と駅でのアルフレートの別れの言葉。
「息子みたいに そばにいろ」と視力を失ったアルフレートは一旦はトトを引き留めたい胸の内を洩らしてしまってはいる。
でも最後にはアルフレートはトトを突き放す道を選んだのだった。
僕らにとって、僕らの“トト”は誰だろう。
いま目の前にいる“トト”を手元に置いていつくしむ事も、それは決して否定されるものではないだろうけれど、別離れて個々に生きる、連絡を断って遠くから見守る。信じる。
このような大人の愛もあるのだと感動で胸が震える。
巨大な愛だ。
私事だが、行方不明で音信不通の肉親が身内にいて···「何とかせねば」と何年も右往左往してきた私。
でもアルフレートやマンマのように祈りつつも“トト”を見送って、こちらはこちらの生活を生きる、そんな方法もあるのだよと教えてもらった気がする。
人生を導いてくれる先生に出逢った気がする。
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きりん様🙇
本作「3時間完全オリジナル版」もロレンスと同じ劇場で、2本立てで観ました。
併映は、リチャード・レスター監督の「ナック」でした。
心の傷口が、開いてた時期に一人で鑑賞💧人目はばからず号泣💧涙で傷口をふさいでくれた、愛すべき映画です。
ありがとうございました🙇
追記:
前半はアルフレート、後半はマンマが、どちらも本当に美しい。
劇場公開版ではどこをどうやって50分もカットしてあったのか、改めてそちらも観てみたい。
なんせ30年ぶりだ。トトと同じですね、僕自身の人生を振り返る旅になりそうです。