「現時点で映画館でここまで泣いた作品はありません」ニュー・シネマ・パラダイス septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
現時点で映画館でここまで泣いた作品はありません
映画館で肩を震わせて
泣いたのは、人生で初めて。
もし、家で見ていたとしたら、
声を上げて嗚咽していたでしょう。
終演後、化粧室に
目に涙をためながら並ぶ
女性客の姿も、はじめて見ました。
帰途につくときも、
放心状態で、涙を堪えながら
歩道を歩き、涙が落ちないように、
列車の中では、ずっと斜め上を見つめ続けていました。
周りから見たら、
「この人、どうしたの?大丈夫か??」
挙動不審だったに違いありません。
花火大会があったらしく、着物姿の群衆の中に、
眼を真っ赤にした男が、なんだか涙を堪えている訳ですから。
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前半:幼少期
中盤:青年期
後半:壮年期
シーンが行き来する場面もありますが、
概ね、この流れで展開されてゆきます。
幼少期、青年期の、
ストーリー中盤まで、
母子家庭に育つ、
映画好きの1人の子供と、
映写機を回す1人の男を、
中心に展開され、家族との間にある「愛」や
子供と男との「父性愛にも似た友情」が
淡々と、描かれていきます。
火災による男性の失明など、大きな
出来事も含め、小さな出来事も、ありふれた
日常の断片として存在しますが、人生はわかりません。
そして、あなたの周りにいる誰かが、あなたは気づかない
だけで、そっと見守っていてくれていた。
終始、子供目線から描かれるココまでは、
観客側も「周り」が、どれだけの愛情をもって、
だれが、見守ってくれていたのか、全く気づきもしません。
ちなみに、ここまでの過程で、
過去の名作のワンシーンが、
いくつも使われているようでした。
古いこと+知識不足もあり、各作品に
ついては、よくわかりませんでした。
わかったのは、チャップリンだけでした。
また、男性の口から、数々の
映画で用いられた明言が引用されますが、
そちらも、いい言葉だな、と感嘆しましたが、
どの作品で、使われているのかはわかりませんでした。
ストーリーも終盤にむかう。男性は、
兵役も終え、成長した子供に告げます。
「街を出なさい。そして、もう街には
戻ってくるな、電話もするな、手紙も出すな。
おまえの噂を、耳にできるのを楽しみにしている」と。
街を出た彼は、それから30年間、
言いつけを守り、街には一度も戻らなかったのです。
街を出て30年後、母から電話が入ります。
「アルフレード(彼に戻ってくるなと告げた人)が
亡くなった」と。
彼は、意を決して、30年ぶりに街に戻るのです。
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ここから、先は、なにを書いてもネタばれになると
思いますので、ストーリーについては、触れません。
記しておかずとも、この感覚が、失われるとは、
到底、考えられませんから。
ヒトツだけ触れますと、
早い人ですと、私を含め、
このあたりから、感動をして、涙し始めます。
ラストシーンは、BGMもよくって、号泣。
もうすすり泣くなんて、レベルではありませんでした。
やっぱり、映画って、イイ、最高ですね!!
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【補足、私事の記録】
おそらく、私の現在の状況であったり、
境遇に、重なり合う部分が多くて、
余計に、感動をしたのもあると思います。
・戻って来て見えるもの、
これは、すべてまぼろし、なの
・土地を離れる、辛さと戻りたくなる気持ち
・離れていても、変わらず注がれる母の愛情
「退路を断つ」
アルフレードは、
「戻ってくる場所はない、それくらい強い
気持ちを持たせなければ、サルヴァトーレは
戻ってしまうし、成功もできない」と思って、
心を鬼にしたのでしょうか。
彼は、自分の死際に、
「サルヴァトーレには、知らせないで欲しい」と
家族に伝える、それくらい徹底していましたから。
サルヴァトーレ視線からですと、
「ふと立ち止まって人生を振り返ったとき、
私、いままでなにやってたんだろ、って
後悔したくない、なと。いい人生だったと、言いたいと」
アルフレード視線からですと、
「こんなに、深く愛してみたい、包み込んでみたい」
この二つが、心に刻み込まれました。
そうそう、もうひとつ不思議な発見が、
「人って、心の底から感動すると、優しくなるんですね」
やたらに席譲ったり、エレベーターのドアを開けたり、
道を譲ってあげたり、自然にしてしまうのに驚きました(苦笑)