「安保闘争」日本の夜と霧 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
安保闘争
大島渚は編集技術を知らなかったのか?と思えるほど、舞台劇を意識したかのような長回し中心のカット。しかも切り替えシーンにおいても壁をいつのまにか取り払ったかのように結婚式会場から夜の公園を映し出す。回想シーンにおいても、クローズアップされた人物の周りをブラックアウトし、切り替えを感じさせないくらいにリアルさを出していた。
党(多分、共産党)をバックボーンにした正統派の人物から、微妙に考えの違う者が対立してゆく。これは安保闘争に限らず、政治的な思想が統一からカオスへと変化する様相を上手く描いていた。うたごえ運動にしたって、ひとつの歌だけを延々と流しているのに、人の心はさまざま。現代のように平和な世の中になってゆくと、こうもばらばらになっていくもんだと未来を予知したような内容だったのかもしれない・・・
数多い台詞のミスも平気でそのまま本編へ。長回しというのも大変だろうけど、フィルムを無駄にしたくないといった庶民的な一面だったのだろうか。
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