「偉大な作品であるとは認めるが…」2001年宇宙の旅 ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)
偉大な作品であるとは認めるが…
オッサン達が絶賛する前時代の名作映画は二通りに別けられる。
今の時代に初めて観ても文句なしに面白い文字通りの傑作と、当時だから評価されたが今観ても対して楽しさが見いだせない作品。
本作はどちらかと言えば後者寄りの作品だ。
素晴らしい点はいくつもある。CGを使わずに撮影したのがにわかに信じがたいシーンがたくさんある。どうやってこの映像をカメラに収めたのか。
また、あらゆるSF映画でコスられまくる恐怖の人工知能の原点・HALの魅力は今現在でもまったく色褪せていない。徐々に解体されながら、自我が消えていく恐怖を語るシーンはひと匙の憐憫の情とともに、ヒトの持つ意識の本質を問いただすようなおぞましさが感じられて非常に奥深い。その他、くそまずそうな宇宙食だの、安っぽい宇宙公衆テレビ電話だの、重力に逆らうための粘着靴だの、レトロフューチャーなカッコイイ小道具には終始ときめけた。
しかしながら、名作SF映画と意気込んで見始めると十数分は猿のごちゃごちゃを見せつけられ、謎が謎を呼ぶ展開からの意味不明投げっぱなしエンドには閉口せざるを得ない。ワクワクを感じられたのはHALが状況を引っ掻き回していた中盤くらいだ。
その後のSFに多大な影響を与えた金字塔であることに異論を挟む余地はないが、だからといって今みて面白い作品かというと決してそうではないのだ。
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