「【”血縁ある姉妹故の怨嗟の果てに起こった悲劇。”名子役だった妹が成長して姉に演者として追い越される中、芽生えた狂気をベティ・デイビスが物凄い演技で魅せる作品。今作は哀しきヒューマンドラマでもある。】」何がジェーンに起ったか? NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”血縁ある姉妹故の怨嗟の果てに起こった悲劇。”名子役だった妹が成長して姉に演者として追い越される中、芽生えた狂気をベティ・デイビスが物凄い演技で魅せる作品。今作は哀しきヒューマンドラマでもある。】
■名子役として人気を博した妹・ジェーン(ベティ・デイビス)と、彼女と入れ替わるように実力派女優として評価された姉・ブランチ(ジョーン・クロフォード)。
だが、ブランチが【車の事故】で下半身不随となって以来、姉妹は大邸宅で孤独に暮らしていた。
そんななか、酒に溺れたジェーンは異常な行動を繰り返すようになっていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・噂には聞いてはいたが、今作は、物凄く恐ろしいホラー映画でありながら、哀し過ぎるヒューマンドラマである。
それを支えているのは、姉ブランチを演じたジョーン・クロフォードの熱演と、徐々に狂って行く妹・ジェーンを演じたベティ・デイビスの怪演である事は間違いない。
ジェーンが子役時代の栄光を具象化した、ベイビー・ジェーンの人形を自室に大切に椅子に座らせているショットが何度も映し出されるシーン。
・狂気に駆られたジェーンが【車の事故】により下半身不随になった姉ブランチを邸宅の二階に閉じこめ、供する食事のシーン。
ー 物凄く怖い。一度目は鳥の死骸が乗せられた皿、二度目は美味しそうな肉料理、三度目はジェーンが”家に鼠が多いのよ。”と言って供した皿の上に乗っていたモノ・・。-
・ジェーンがブランチの声色を使って酒屋から酒を取り寄せるシーンや、ジェーンの主治医をだますシーンも怖いが、白すぎるメイクをしたベティ・デイビスの狂気の演技が炸裂している。
・メイドのエルヴァイラが、ジェーンの狂気性に気付くも・・。
ー 絶望的な気持ちになる。-
■ジェーンが狂気の中、演技界に復帰すべく太ったピアノ奏者を金もないのに雇うシーンが、観ていて哀しい。
<ラストも、強烈である。ジェーンが囚われていて虫の息の姉ブランチを連れて海に行くシーン。燦燦と降り注ぐ陽光の中、ブランチが事故の真相をジェーンに告げる姿。
だが、狂気に取り込まれたジェーンはその言葉を聞いても、ブランチに怒りをぶつける訳でもなく、我儘だった子役時代にアイスクリームを父にねだったように、【姉と自分の為に】海岸の売店で童心に戻ったかのようにアイスクリームを買うのである。
重ねて書くが、今作は恐ろしきサイコホラーでありながら、哀し過ぎるヒューマンドラマなのである。>