劇場公開日 1990年4月

「"人種のるつぼ"のリアル」ドゥ・ザ・ライト・シング keitaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"人種のるつぼ"のリアル

2012年6月8日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

その年一番の猛暑の日にそれぞれの"right thing"が爆発する。
人種のるつぼアメリカ、ニューヨーク。
自らを反映したリアルさ溢れるスパイク・リーのこの作品はそれまでのアメリカ映画、人種問題の描き方に一石を投じた。

真夏のニューヨーク、今なお人種差別の残るベッド・スタイ地区には今まで何度も観てきたようなお決まりの構図は存在しない。
黒人を始め、イタリア系やプエルトリコ系、アジアにユダヤ。
ただの「白」対「黒」では解決出来ないアイデンティティーの対立がある。
そんな場所を舞台に黒人監督が描き出したのは白人にはもちろん、黒人にも同様に存在する不寛容の意識だ。
「愛」と「憎しみ」をテーマに自由の国の不自由を新鮮な視線でセンセーショナルに映し出す。

映画作りに自身を反映することほど難しく、深みのでることは無いだろう。
しかし、それが上手くいけば「ミーン・ストリート」やこの作品のような圧倒的な力強さを持つ傑作が生まれることを証明した一作。

keita