劇場公開日 1958年

突撃のレビュー・感想・評価

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4.0義憤に燃えて

2024年9月7日
PCから投稿

キューブリック先生、無名時代の作品ですがなかなか堅実で主題も明確な秀作です。
外野の日本人としても義憤に燃えるようなやや過剰な演出ですが、各人の個性もクッキリ浮き彫りになって感情移入し易い作品です。

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越後屋

4.0【愚かしき将の部下に下される非情且つ無慈悲な軍令。反戦映画の逸品。ラスト、囚われた独逸娘が歌わされる中、仏蘭西兵が涙を流しながら共に歌うシーンは白眉である。】

2024年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■第一次世界大戦下の西部戦線。
 弁護士としても名を知られているフランス軍の連隊長・ダックス大佐(カーク・ダグラス)は、自殺行為に等しい無謀な指令を上官のミロウ将軍から受ける。
 ミロウ将軍は、更にあろうことか前進できない味方軍に対しての砲撃を命じるも、作戦は失敗し、その責任が無実の兵士3人に押しつけられた。
 ダックスは激怒し、軍法会議で兵士たちの弁護に立つ。

◆感想

・愚かしき将の部下の戦争中の悲惨な姿を描いた作品。

・何の罪もなく、必死に戦った3名の兵士は”くじ引き”で選ばれ、敵前逃亡と言う理由で銃殺を命じられてしまう。

・それに抗うダックス大佐が軍法会議で部下たちの戦いぶりを説明するも、自身の保身を考える愚かしき将たちは、一兵士たちを処刑する事で軍の規律を保とうとするのである。

<ラスト、囚われた独逸娘が歌わされる中、仏蘭西兵が涙を流しながら共に歌うシーンは白眉である。今作は、スタンリー・キューブリック監督、カーク・ダグラス主演による反戦映画の逸品である。>

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NOBU

4.5ヒューマニテイを主題にしたキューブリック監督には珍しい作品

2018年12月11日
Androidアプリから投稿

キューブリック監督は人間を描くのはあまり興味が無い
それよりも物語の展開自体と映像表現を中心に据える作品が多い
だが本作は違うようだ
様々な人間が描かれ、その各々の立場での感情と苦悩が描かれる

それを特に象徴するのはラストシーンだ
捕虜になった美しいドイツ娘の歌に、荒くれて騒がしかった兵隊達が次第に静まり、その歌声と歌詞に釣り込まれて、声を合わせて泣き顔で歌いだす
人間性を捨て去って命令と軍律の中で心を失っていた兵隊達が、普通の人間に戻った瞬間をたっぷりと見せる
そして部隊に前線に戻れとの命令が来た事を伝える部下に、兵隊達に号令をかけるのはもう少し待ってやれと命じるシーンは、他のキューブリック作品には無いヒューマンさが溢れる暖かい眼差しだ

もちろんキューブリックらしい、陰影の強い映像と美しい構図の取り方ははっきりと確立されているのがわかる

夜の斥候シーンは陰影の付け方が見事だ
総攻撃での突撃シーンは報道写真がそのまま動いているかのようで、陰影の強調をつけた上に、望遠レンズの効果で恐ろしい程に迫力とリアリティーのある映像で、現代の戦争映画にも勝る

そして後半の軍法会議のシーン、牧師に懺悔するシーン、銃殺シーンは特筆もの
どれも、窓から射し込む自然光の効果、絵画のように見事な構図と視点、高角レンズの多用がもたらす画面の広がりと奥行き
どれも素晴らしく感嘆するばかりだ

カーク・ダグラスは戦場の現場部隊の指揮官としての任務への責任と部下の生命を預かる責任との狭間に陥った苦悩を見事に演じており、キューブリックの映像に負けることなく、監督の強烈な映像の中で映えて本作のテーマを見事に主張している

彼は本作でキューブリック監督の非凡な才能と確かな腕を知り、スパルタカスの監督にキューブリックを指名することになる
本作はそれも当然だと納得できる傑作だ

付記
冒頭の将軍が塹壕陣地を視察するシーン
見覚えがあると思ったら、グラディエーターでの冒頭で同じく将軍がローマ軍陣地を歩くシーンと瓜二つだ
もちろんリドリー・スコット監督が本作をオマージュしたものだろう
これは新発見だった

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あき240

3.5醒めた視線が光る

2017年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

1957年製作。キューブリック29歳での監督作。

いわゆる監督独自の構図や視点はまだ薄めだが反戦映画として独自なスタイル。軍法会議がメインとは思わなかった。

描いているのは人間の本質とは何か?である。正義とは愛国心とは。そして戦争とは軍隊とは。なぜ無能で無責任な上官の下で命を張らなければいけない理不尽さに耐えねばならないのか。

ラスト、荒くれ者たちが心を動かされ涙を流す。それもまた人間である、というメッセージにじんわりときた。(そこに監督の後期の映画には無いヒューマニズムも描かれているような気がした)

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散歩男