「ビルドゥングスロマンには不充分に感じて…」トッツィー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
ビルドゥングスロマンには不充分に感じて…
ポラック監督作品は
「追憶」「愛と哀しみの果て」「サブリナ」等を
幾度も観てきて、この作品も再鑑賞だが、
「きっと、うまくいく」や
「戦場のメリークリスマス」という
深い感動に浸った作品の鑑賞直後だった
のがいけなかったのか、
あまり心に響くもの無く
鑑賞を終えてしまった。
男性が女装することによって、
同性にも異性にも理解が進むとの、
ある意味ビルドゥングロマン的作品にも
したかったのだろうが、
果たしてどうだったんだろうか。
女性が置かれている厳しい現実も
大切に描かれたが、
観客に受けが良さそうな
女装した主人公がドラマ撮影での医師役や
想いを寄せる女性の父親に
言い寄られることとか、
キスしようとしてレスビアンに間違えられる
等の性的トラブルのエピソードに
ウエイトが置かれ過ぎていて、
主人公の成長的描写の要素はあったものの、
作品全体でのその思索そのものの
起承転結的演出が
弱くしか感じ取れなかったことが
心に響かなかった原因だったかも知れない。
ダスティン・ホフマンの演技力に
頼り過ぎた結果なのかなぁ。
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