「キューブリックが暴き出す人間の野生的本能」時計じかけのオレンジ keitaさんの映画レビュー(感想・評価)
キューブリックが暴き出す人間の野生的本能
暴力、セックス、モラル、理性、自由放任や全体主義といった社会的構造、あらゆる人間的で不偏の主題に対して強烈に風刺を効かせた傑作。
キューブリックの卓越した映像感覚で紡ぎ出される世の終わりのような退廃した世界は観るものに衝撃を与え、その不偏的世界観と現実世界との同一性を訴える。
また、リアルな暴力描写だがスタイリッシュに描くことで観客に暴力とモラルの一面的客観視を赦さない。
そして、彼は人間の心に存在する非人道的"超暴力"の本能を見逃さない。
言い換えれば、アレックスは全ての人間に存在する野生的本能の体現者であり、人間のモラルと言う欺瞞を暴く"超人間的存在"である。
台詞、音楽、そして大胆さと繊細さを兼ね備えた映像美、映画史に残る一作であることは言うまでもない。
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