「アルトラ・ホラーショー」時計じかけのオレンジ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
アルトラ・ホラーショー
臆せず全裸をそのまま写してくれる映画が好き。
アレックスの青い目がとても印象的だった。
片目のつけまつげがなんだか色っぽい。
独特の言葉を使うのでたまに何が何を指すのか不明になるけど、何となく伝わるのも面白い。字幕の人は大変だっただろうねぇ。あン?
前半の無邪気で恐ろしい暴力描写にときめいてその犯罪行為の数々に大興奮していた。
猫夫人とのやり取りが好き。
あの置物の意味深な動き方はなんなんだろう。おきあかりこぼしみたいな物なのか?
何より、早送り乱行シーンってこれか!というちょっとした感動よ。
暴力レイプシーンがとても良かっただけに、後半のアレックスの散々な扱われ方は少し残念に思った。物語としては面白いんだけど。
独裁リーダーは迂闊に落とされる。
あっさり捕まってからの弱い抵抗と真面目さがなんとも惨めなことよ。
かの有名な強制目ん玉ひん剥きシーン。
こちらの目も痛むようで、わざと多めにまばたきして自分を誤魔化しながら観ていた。
超暴力は悪、超暴力は悪、超暴力は悪。
カリスマがあっさり屈服される様にガッカリしつつ、その実験的治療の気持ち悪さに震える。
解き放たれたアレックスのこれまた可哀想なことよ。
過去との再会にハラハラ。
特に老作家。いっそ直接的に残酷に手を下して欲しい、だとか、例の治療など無かったかのように平然と返り討ちにして欲しい、だとか、そんな考え無粋なんだろうな。
HOMEに入った辺りから、正直もうどう観ていれば良いのかわからなくなった。迷わされる。
一つ一つのモチーフも気持ち悪い人しかいないキャラクターも好き。
スタイリッシュな映像表現に高まるし、ベートーベンを「ルートヴィヒ・ヴァン」と呼ぶセンスに感嘆した。
ただ、焦点を合わせる先がだんだんぼやけてきて、どんどん興味が薄れていってしまったのも事実。
アレックスに嫌悪感や怒りを抱ければまた見方も違ったんだろうけど、私は犯罪漬けの彼のほうが好きで、その頃の彼に変にこだわってしまった。
もっちゃもっちゃ…パコッ!の餌付けシーン、大臣との会話の内、凝縮されたスリルが走った一瞬の間がたまらなく好き。
治ったというか、戻ったようにも思えたんだけど。
ストレートな犯罪も正義で固めてみせた治療も取り繕い方も全部全部イカれてるんだよね。
人間って嫌ね。面白いよね。
午前10時の映画祭にて、初鑑賞。
この作品をスクリーンで観られて良かった。
パイオツミルクマシーン笑った。