逃走迷路のレビュー・感想・評価
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クライマックスの自由の女神での伝説的攻防は見応え抜群
アルフレッド・ヒッチコックがアメリカで映画製作を始めたのが1940年。42年公開の本作は、渡米してまだ間もない頃に手がけたサスペンス・アクションとして知られる。何ら理由の分からぬうちに主人公が濡れ衣を着せられたり、あるいは謎の秘密結社に命を狙われたりする流れは従来の通りで、とりわけヒッチコックはこの映画で、英国映画「三十九夜」をアメリカ式に翻案して見せたとも言われる。
ハリウッドの完全分業制に慣れるのに時間がかかったというヒッチコックゆえ、本作の緊張感やユーモア、各シーンの趣向の凝らし方は「三十九夜」には到底及ばない。だが、クライマックスに自由の女神像の頂上へと上り詰めていくシークエンスだけは別格だ。内部の様子も極めて精密に作られ、そこから見下ろす光景も絶品。期待通り、展望台から飛び出し、指先三寸の引っかかりに至るまで神経を張り巡らした作りも完璧である。このシーンだけでも一見に値する。
愛しのプリシラ・レイン様
巻き込まれ型スリラーの傑作
1942年(アメリカ)監督:アルフレッド・ヒッチコック。
ハラハラドキドキ、面白かったです。
さすがヒッチコック作品。期待以上の出来です。
飛行機工場に勤める平凡な男・バリー(ロバート・カミングス)が、
工場の放火事件の犯人の容疑をかけられてしまう。
火事の時に消火器を手渡したフライという男が怪しいと踏んだバリーは、
ある手掛かりからフライの居場所を「ソーダシティ」と知り、
嫌疑を晴らす為にヒッチハイクをして単身「ソーダシティ」へ乗り込むのだった。
なんのスキルもないただの平凡な男バリー。
逃亡の行く先々での機転、大胆にも敵のパーティ会場に乗り込んだり、
スパイも真っ青の大胆な働き。
おまけに美人で鼻っ柱の強いモデルのパット(プリシラ・レイン)と恋仲になる・・・
なんとも羨ましい男性です。
後半に入る所で、10分位フィルムが飛んだのかと思いました。
突然、舞台はNYに飛んでおります。
金持ち夫人のチャリティー・パーティ会場に変わってました。
そして映画は佳境に入ります。
飛行機工場に放火した一味は、意外にも資本家階級の人間で、ナチスの息が
かかっているのでした。
この辺、動機や思想に確たる裏付けがなくて、やや説明不足ですね。
ただヒーローのバリーは、フライを見つけ出し、彼の新しいターゲットが大型客船の
進水式だと知るのです。
スパイアクションに早変わりして、進水式を破壊する爆薬のリモコン・スイッチを
押すの?押させないの?
イヤ、押しまっせ!!と、
映像もパワーアップしてきます。
そしてクライマックスの「自由の女神像」での攻防。
本当にヒッチコック監督は見せ場を作るのが上手い。
この「自由の女神像」の途中にぶら下がるフライ。
一体何処から撮影したのでしょう?
(小船を出して、そこから望遠レンズでしょうかね!)
「知りすぎた男」「めまい」「鳥」
実に印象的なラストの盛り上げ方!!
あっと言わせて、観客にサプライズとカタルシスを!!
文句なしのミステリーの名手ですね。
掴んでいた服が次第に破れていき、そして
上手く政治と絡めていて、見応えがあった。 ヒロインの心変わりのタイ...
三十九夜のセルフリメイク
お話は三十九夜に似ている
手錠に悩まされるくだりまで入っている
舞台を全米横断ものにして、よりスケールアップして良い出来映えの傑作になっている
ラストの自由の女神でのアクションシーンは後年の北北西に進路を取れのラシュモア山のシーンの原型
本作の方がシンプルな分だけ効果的だ
道中にフーバーダムとかの名所をいれるのもサービス精神旺盛
ラジオシティの映画館での上映中の映画の中での発砲と逃げるスパイとの銃撃戦が重なるシーンも面白い
が、無理やり見せ場を詰め込み過ぎ感はある
LA近郊からNYまで全米を横断する各地のパート
に別れており退屈させない
そしてそのパート毎に登場する脇役陣の演技が光っている
特にトラック運転手は心に残った
サーカス団の面々も素晴らしい
目の不自由なヒロインの叔父も良い
そして悪役陣が良い仕事ぶりだ
スパイ団のボスも造形演技とも完璧
何より主人公を破壊工作と殺人犯にした真犯人フライ役の俳優が素晴らしい存在感を示した
戦艦が転覆したシーンをタクシーで横目で見やるシーンや自由の女神でのシーンは見事
ヒロインもブロンド美人で大活躍する
嫌みもなく良い配役だった
戦艦アラスカは実在して戦中に実際に進水就役して太平洋戦争末期には日本と戦っている
劇中転覆している大型船は、NYの港で火災でそうなった客船の事故映像をヒッチコックが撮らせて効果的に使用したという
とにかく楽しめる娯楽作品だ
楽しめる傑作だ
メモ
クオリティの高さに驚いた
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