劇場公開日 1997年4月5日

「テロリストと警察官の対決を盛り上げ切れずに終わるパクラ監督の異色作」デビル(1997) Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0テロリストと警察官の対決を盛り上げ切れずに終わるパクラ監督の異色作

2021年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ハリソン・フォードとブラッド・ピットの共演が見所のIRAのテロリストを主人公にした異色作。プロローグにピットの生い立ちを配したテロリストで暗躍する悪のヒーローの悲哀と、23年間実直に警察官の任務を果たしたフォードの正義感を対比させたパクラ監督の明確な意図がストレートに伝わる。フォードの平常の仕事振りのシーンがいい。このフォードの肩の力が抜けた自然体の演技が素晴らしい。それに対してピットのテロリストらしい動の身のこなしはそれなりに決まっているが、宿命を顧みたときの憂いの表情が今一歩。美青年のニヒリズムがもっと出ていい。ならばもう少し痩せた体格なら良かったかも知れない。ストーリー展開はテンポ良くラストの二人の対決まで話を進めるも、ピットの仲間である女性がフォードに居場所を教えるのが頂けない。ならばラストシークエンスにその女性も加えてクライマックスを盛り上げるべきだ。「ソフィーの選択」のアラン・J・パクラ監督の新作と期待して観てしまった分肩透かしを食らったよう。

Gustav