「デイズ・オブ・サンセット。 ただの『トップガン』やないかこれえっ!!」デイズ・オブ・サンダー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
デイズ・オブ・サンセット。 ただの『トップガン』やないかこれえっ!!
ストック・カーに情熱を燃やす青年コールの戦い、友情、恋を描いた青春レース映画。
監督は『トップガン』『ビバリーヒルズ・コップ2』のトニー・スコット。
野心あふれる若きレーサー、コール・トリクルを演じるのは『トップガン』『レインマン』の、レジェンド俳優トム・クルーズ。
脳外科医クレア・ルイッキーを演じるのは、当時はオーストラリアで活躍していた、後のレジェンド女優ニコール・キッドマン。本作は彼女のハリウッドデビュー作である。
音楽は『レインマン』『ブラック・レイン』の、名匠ハンス・ジマー。
主演:トム・クルーズ、監督:トニー・スコット、製作:ドン・シンプソン&ジェリー・ブラッカイマーなど、『トップガン』(1986)の主要チームが再結集した本作。
ヒロインであるニコール・キッドマンは、ご存知の通りトムの元嫁。ジョージ・ミラー製作のスリラー映画『デッドカーム/戦慄の航海』(1988)を偶然観たトムがキッドマンに一目惚れしハリウッドへ招聘、本作公開から6ヶ月後に愛でたくゴールインした。
ハンス・ジマーは既に『レインマン』(1988)でトムとタッグを組んでいるが、その後も『M:I-2』(2000)や『ラスト サムライ』(2003)、『トップガン マーヴェリック』(2022)に参加している。
脚本のロバート・タウンは『ミッション:インポッシブル』(1996)および『2』に参加、老整備士ハリーを演じたロバート・デュヴァルは『アウトロー』(2012)でも同様に相棒ポジションを務めていたりと、本作の共演者がこれまでトムを支えてきた人物、またはこの後トムを支える事になる人物で固められている点は注目に値する。
というわけで、本作=トム・クルーズそのもの、と言っても良い程に、皆んながイメージする「トム・クルーズ」がこの映画に詰まっている。
※生意気だが腕は一流の青年(もちろんトム・クルーズ)が命懸けの何事かに挑む。
※脇を支える老齢なエキスパート。
※ブロンド美女との恋。
※立ちはだかるライバル、そしてそれを乗り越えて育まれる友情。
※大事故の発生。巻き込まれた親友は引退を余儀なくされる。
※事故の恐怖からPTSDに。恋人とも別れる事になる。
※恐怖を乗り越え試練に打ち勝つ。恋人ともよりを戻し大団円を迎える。
これさえ抑えれば、あなたもトムクル映画の脚本が書ける!
この陳腐さ、いかにもYAスター軍団「ブラット・パック」の映画って感じ。今じゃ絶滅してしまったフォーマットであり、こんなんばかり観ていると頭がおかしくなりそうになるが、たまに観てみるとこのファストフードっぽさがクセになる。一昔前のハリウッド映画成分を摂取したい人には超絶オススメ出来る一本。
ちなみに、キムタク映画もこれとおんなじフォーマットである。そういや『エンジン』(2005)とかいうキムタクがレーサーを演じるドラマがあったなぁ…。
確かに主演&監督&プロデューサーがおんなじなんだからそりゃある程度似るのは仕方ないとは思うけどさぁ…。
正直言って、本作は完全に『トップガン』。まごう事なき『トップガン』の二番煎じ…というか、ガワだけ変えて中身はおんなじというインチキパソコンみたいな映画である。『トップガン』を観た人なら、冒頭を観ただけで本作の内容のほとんどを先読み出来る事だろう。ニュータイプ気分を味わいたい人にもオススメ出来る一作である。
にしても、トニスコの映画は相変わらず夕陽が眩しい。夕方しかねーのかこの世界はっ!💦
一応戦闘機とストック・カーという違いがあるので、飛行機好きは『トップガン』、カーレース好きは『デイズ・オブ・サンダー』、トム好きは両方、トム嫌いはどっちも観ないという選択をするのが吉。
そういえば『トップガン』の2匹目のドジョウを狙い、この映画の続編企画が進行中らしい。本作は撮影技術の限界もありカーレース映像が細切れになってしまい、なんだかよくわからん事になっていたが、今の技術と今のトムが融合すれば前人未到の超絶スーパーカーレースシーンを撮影するのも可能かもしれない。もしそれに成功すれば『トップガン マーヴェリック』級の神作になるのではないだろうか。
この企画が実現する頃にトムが何歳になっているのかは不明だが、彼ならたとえ70になろうともスタントなしでレーシングカーをぶっ飛ばしてくれる事だろう。首を長くして続編を待ちたいと思う。