「ノアの方舟だけで大満足」天地創造 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ノアの方舟だけで大満足
天地創造に始まり、アダムとイブ、カインとアベル、ノアの方舟、バベルの塔、そしてアブラハムの物語としてソドムとゴモラ、イサクの生け贄などが描かれている。それぞれで大作映画になる題材ですが欲張ったものです。もっともノアの方舟で予算を使ってしまったのかバベルの塔やソドムとゴモラは端折っています。聖書に対して文句をつけるなんて不遜なのだが「ホモ・サピエンス全史」のユヴァル・ノア・ハラリによれば宗教の発生は集団を維持するための共同幻想、壮大なフィクションと言っている。確かに映画の中で描かれるのも天変地異や奇跡などスペクタクルであり天罰とご利益のコンビネーションの最たる事例かも知れません。全知全能の神ともあろうお方が血生臭い生贄好みや子殺しなどは頂けませんが並みの説法では当時の人類の野蛮性は御せなかったのでしょう。
ノアの役は当初チャップリンが候補だったのだが断られて監督自ら出演、神の声まで演じて大奮闘でしたが意外にもご当人は無神論者だそうです。今ならCGで簡単でしょうが生の動物たちの表情が素晴らしく驚きました、ノアの方舟だけで大満足です。ただ悪徳と退廃により神に滅ぼされたソドムとゴモラの都、硫黄で燃やされた筈なのにまるで原爆もどきの描写は引っ掛かります、音楽の黛さんは何も感じなかったのでしょうか・・。
コメントありがとうございます。
黛さんは翌年の被爆青年の恋愛映画「愛と死の記録」の音楽もやられていますから原爆に関心があると思っていました・・。いくら右傾の方でも原爆を天罰のように扱われたら一言くらいは苦言を呈して欲しかったと勝手に願ってしまいました。ひょっとすると、その影響で被爆映画のオファーをお受けになったのかも知れませんが・・。