天国の日々のレビュー・感想・評価
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広大な自然の中にある映像美
物語はいたってシンプルでオープニングの写真集を見ているような映像から豊かな自然とユッタリな時間が流れセリフが少ない中でも飽きずに観れて何といっても若かりしS・シェパードが断然に良い。
「アウト・オブ・ブルー」に「ワンダラーズ」のL・マンズがキュートで独特な存在感を放つ。
ラストは「地獄の逃避行」に似た雰囲気もあるようなT・マリックには物語がシンプルな映画を70年代の頃のように撮って欲しいし復活してから哲学的過ぎて参ってしまうが本作は最高。
なんとも不思議な映画でした。 通の方には有名なようですね、このテレ...
美しい大地を背景にした人間の愛憎劇
総合:85点
ストーリー: 80
キャスト: 80
演出: 85
ビジュアル: 90
音楽: 70
美しいテキサスの農場を背景に、貧困の中で絡まる人々の野望・愛情・罪悪感・裏切りなどを描いた秀逸な人間ドラマ。
厳しい貧困の生活だが、それが広大な大地の力強い生命力をまとった美しい農場の映像と共に描かれる。人の行動を細かく撮影するのではなく、人と共に時を刻み移り行く大地を撮影することでその厳しい生活をゆったりと表現する詩的な演出が素晴らしい。その下に、生まれの違いによる人生の不条理や貧困から抜け出るための野望やそれらから生まれる様々なドラマが蠢いていく。
映画の中で人が幸せになるか不幸になるかはあまり関係ない。希望も野望も罪悪も全てが悠久の大地の上に刻まれた1つの物語であり歴史であり、それが終わった後も残された人々の生活は続いていき時間は流れ続ける。それを描いた壮大な純文学のような映画。
ゆったりと流れる時間
自然との対比で映し出される人間の脆さ
20世紀初頭のテキサスを舞台に私達は強烈な映像体験へと一気に引き込まれる。
一日に二十分しか無いと言われる「マジック・アワー」の時間帯と小麦の大平原が重なりあう美しさは圧巻だ。
テレンス・マリックは身寄りも無く明日さえ見えず今日を生きる3人を鏡に人間の過ち、弱さ、脆さを浮き彫りにする。
彼の作品は自然と人間の対比が印象的であり、またその対比によって人間の弱さを映し出す。
この作品でも美しい自然の情景の上で渦巻く人間の憎悪が印象的だ。
そしてもうひとつの特徴は、まるで人間の心理を暴こうとするかのようなナレーション。
「人間は半分天使で半分悪魔。」この一言にこの作品の全てが集約されている。 人間の心はどちらにも成り得るからこそ豊かであり、美しく醜いのである。
徹底したリアリズムと地球の原風景で彩られた彼の作品こそ私達を異次元へ連れ出してくれる真の"映画体験"なのかも知れない。
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