「この内容の密度と深度でたった94分なの凄くないですか?!」天国の日々 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
この内容の密度と深度でたった94分なの凄くないですか?!
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この映画が、マリック監督の前作にしてデビュー作『地獄の逃避行』改め『バッドランズ』と同じ上映時間94分というのは、考えたら凄いことではないか。『バッドランズ』も神話的、哲学的な広がりと美しさを備えた作品だったが、こちらはより複雑で、より雄大で、神話性も増している。マジックアワーでの撮影が伝説化しているように、こだわり抜かれた映像美も圧巻で、正直『バッドランズ』ほど身近に引き寄せて愛でることができない、なんだか人として格上だと感じずにはいられない作品だと思っている。にも関わらず、人間関係の描写は過不足なくまとめていて、94分というほどよい短さに落とし込んだ。もちろん予算やスケジュールの都合もあったのかもしれないが、難解な長い映画を作るよりもはるかにややこしくて難しいことをマリックは本作でやってのけたように思う。
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