「自然との対比で映し出される人間の脆さ」天国の日々 keitaさんの映画レビュー(感想・評価)
自然との対比で映し出される人間の脆さ
20世紀初頭のテキサスを舞台に私達は強烈な映像体験へと一気に引き込まれる。
一日に二十分しか無いと言われる「マジック・アワー」の時間帯と小麦の大平原が重なりあう美しさは圧巻だ。
テレンス・マリックは身寄りも無く明日さえ見えず今日を生きる3人を鏡に人間の過ち、弱さ、脆さを浮き彫りにする。
彼の作品は自然と人間の対比が印象的であり、またその対比によって人間の弱さを映し出す。
この作品でも美しい自然の情景の上で渦巻く人間の憎悪が印象的だ。
そしてもうひとつの特徴は、まるで人間の心理を暴こうとするかのようなナレーション。
「人間は半分天使で半分悪魔。」この一言にこの作品の全てが集約されている。 人間の心はどちらにも成り得るからこそ豊かであり、美しく醜いのである。
徹底したリアリズムと地球の原風景で彩られた彼の作品こそ私達を異次元へ連れ出してくれる真の"映画体験"なのかも知れない。
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