「刑事ドラマの真髄を見た!」天国と地獄 ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
刑事ドラマの真髄を見た!
タイトルはお馴染みですが、内容は、よく知らない黒澤作品の一本です。誘拐事件の映画ってくらいの知識しかありませんでした。
オドロオドロしいテーマソングから始まり、非常に期待値が上がりました。また、音楽に合わせて表示される役者さんの名前に、懐かしい〜、この人も出てる、と一喜一憂でした。
映画を見ている時にも、自分が若い頃から見ていた今は亡き昭和の名優たちの若かりし姿に、興奮しっぱなしで喜ばせてもらいました。
初っ端から三船敏郎さんの登場。今までは時代劇ってイメージが強かったけど、先日見た「悪い奴ほどよく眠る」で、カッコいいスーツ姿を見てたので、本作品では違和感も感じませんでした。
それどころか、自分の子供と間違えて誘拐された運転手の息子のために、全財産投げ売って身代金まで用意する、メチャクチャカッコいいオヤジを魅せてくれました。
ここに、仲代達矢さんを筆頭とする、黒澤作品ではお馴染みの面々が演じる警察陣が加わり、緊迫した雰囲気で展開していきます。
【ネタバレ】
前半は、誘拐犯とのやりとりに、三船さんが自身の野望との間で苦能する様を描いてくれます。会社の乗っ取りを考えていた矢先の事件。ここでこのお金を使うと、計画が破綻するだけでなく、生活すらままならなくなる恐れがある。
それでも、身代金を用意した三船さんが、ホンっとカッコいい。
要所要所にニヤッとするようなお笑いを交えながら、緊迫感を維持する展開に、心底引き込まれました。
身代金の引き渡しも、電車を使った頭脳的な方法で見応え十分です。
後半は、犯人の山﨑努さんも登場し、徐々に追い詰めていく警察の姿が描かれます。
今現在放送されている刑事ドラマの原典がここにあるって感じで、見たことあるような場面が幾つかでてくる。
でも、そこが昭和の風景で、懐かしいっていうか、生々しいっていうか・・・
汗じみのついたシャツを着て、密接した部屋で行われる捜査会議。容疑者を尾行する刑事たちの変装。そして、人々であふれかえる街中、ヤク中や売春婦等、荒ぶれた人々でごった返すドヤ街。
とにかく、ワンシーン、ワンシーンに生きているっていう躍動感を感じる。
いや〜、ホンっと面白かった。
犯人逮捕に向けての警察のやり方も、どうかと思われる部分もあったが、まぁ、悪い奴には容赦なしってのは嫌いじゃないんで、スッキリさせてもらいました。
ラスト、犯人の山﨑さんから呼び出され、三船さんが面会に行って話す場面。何を話すんだと思っていたら、何故恨みを抱いたのかを語り出す。差もない会話の中で、徐々に変わっていく山﨑さんが印象的だった。明確な説明ではなく、見た人それぞれの判断に委ねる終わり方だと思う。恐らく、見た時の気分や状況によって感じ方が変わるんだろうなって気がする。
ratienさん、共感&コメントありがとうございます😭
私もこの作品は大好きで、黒澤明監督作品の中では「七人の侍」と常にトップを争う位の作品です‼️前半の権藤邸、中盤の身代金受け渡し、後半の警察の捜査まで、ホントに完璧な作品‼️ホンッとに面白い作品です‼️少なくとも、死ぬまでにあと100回は見たい‼️あぁ、また観たくなってきた〜‼️
コメントありがとうございます!
映画史に残る衝撃のラストでしたね!うわぁー!マジかー!って声が出ました(笑)
まさに、生々しさも本作の魅力でしたね。作戦会議のシーンは凄く良かったです。