劇場公開日 1963年3月1日

「【”丘の上の瀟洒な二階建ての家に住んでいる男を見て、丘下の貧しきアパートに住んでいた男が思いついた凶事。”誘拐犯を追い詰める捜査陣の執念の姿を描いた社会派サスペンス映画の逸品。】」天国と地獄 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”丘の上の瀟洒な二階建ての家に住んでいる男を見て、丘下の貧しきアパートに住んでいた男が思いついた凶事。”誘拐犯を追い詰める捜査陣の執念の姿を描いた社会派サスペンス映画の逸品。】

2024年8月23日
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怖い

知的

難しい

 ・戦後の混乱期の昭和を舞台にした作品であり、今作がきっかけで誘拐罪の量刑が改正された事は、学生時代の授業で知ったものである。

 ・何とも退廃的な、後半のヘロイン中毒者がたむろするヘロイン窟の重いシーンの数々や、ラスト、捕まり死刑宣告を受けた犯人を演じた若き山崎努氏の貧しさ故の鬱屈が爆発した狂的な演技と彼の強がりを憐れみの眼で見るナショナル・シューズの元重役・権藤金吾とが刑務所の金網を隔て対峙するシーンも凄い。

・更に言えば、二人の未来を暗示するような”ガシャーン!”と二人の間に降りるシャッターの金属音は重い余韻を残す作品である。

<今作を真似て、多数の誘拐事件が発生したそうであるが、この作品を観ていると”俺も出来るのかもしれない・・。”という狂的な思いを誘発するが如き、重厚な作品である。
 恐ろしい作品であるが、そういう意味では敗戦の雰囲気を色濃く漂わせるこの社会派作品は、矢張りサスペンス映画の逸品であるのだろう。>

NOBU