「後半の展開に見応えあり」天国と地獄 潤さんの映画レビュー(感想・評価)
後半の展開に見応えあり
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十数年前に見た時は新幹線開業前の「特急こだま号」を利用した身代金受渡しのシークエンスまでが強烈な印象で その後は肩すかしを食らった印象があったのですが、時間の経過を経て再見すると 犯人像が明確になってからの後半50分の展開こそがスリリングで抜群に面白いと感じました。
高度成長期における日本のダークサイドを徹底的に暴いてみせる作品であり、特に横浜繁華街やスラムのシーンは現代ならば炎上必至の描写かも。50数年前も今と同じように東京オリンピックに向け日本のイメージアップ作戦真っ只中だったはずですが、よくここまで突き放して冷徹に描けたなー とビックリです。 さすが黒澤、当時を代表する演劇人が総動員されており、三船仲代山崎努はもちろん ちょっとしか映らない脇の俳優たちに至るまで アンサンブル演技の素晴らしさに圧倒されました。 戦後 日本中にはびこった薬物依存患者に目を背けず描いている点でも注目に値します。
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